詳しく調べてみると、地方税法で還付できない5年を超えた誤課税について、課税する側に瑕疵がある場合には、民法などの規定に基づいて、それ以前の15年分についても還付する規定があることが分かりました。しかし、私はそれまでこの民法の規定を全然知りませんでした。町役場の職員も気づていませんでした。

 申し出を契機に調査すると、2回目の還付は1997年度まで遡り、15年分で約1594万円となることが分かりました。1回目の還付と合わせると、組合に対する還付は合わせて約1858万円になります。

 職員は常日ごろ、一生懸命に勉強してくれています。それでもやはり地方税法に主軸を置いているため、民法を含めた深いところに気がつかない面がありました。税法上、相当珍しいケースではないかとは思います。それでもプロである以上、当然こうした知識を身につけて対応すべきだった、と今にしては思います。しかし実際にはそこまで考えが及んでいませんでした。

 瑕疵が明らかになってからは、しっかり対応するように指示しました。ただし、誤った課税があったのは29年間。地方税法と民法のどちらの規定によっても還付にならない期間が9年分ありました。

 この点について、担当課長が窓口となり、組合に対して説明を行いました。「憤慨していたことなどはない」と、聞いています。紳士的に対応していただいたと思います。

 返還する金額が大きく期間も長いことから、私はこの段階で新聞、テレビなどのマスコミに情報を発信する必要があると判断。4月19日に記者会見を開きました。誤課税についてこれまでの経緯を説明すると同時に、同日付で町長の私は給料の10%を1カ月減給。副町長が同7%を1カ月減給、管理職2人が訓告となりました。

臨時町議会で補正予算

2005年に誕生した若狭町。財政は厳しさを増しているなか、誤課税が発覚した
2005年に誕生した若狭町。財政は厳しさを増しているなか、誤課税が発覚した

 そもそもの発端は私が町長になるずっと以前のことだった? いや、行政はあくまでも「継続」である以上、そんなことを言うつもりは一切ありません。また、若狭町は2町の合併によって2005年に誕生しています。これに対し、誤った課税のスタートが合併前ですが、どちらの旧自治体で起きたかなどについても公表しません。

 若狭町は人口約1万5000人で福井県の南西部に位置しています。周辺の自治体には原子力発電所が立地しているところがありますが、町内には原発がありません。工場の進出なども進めていますが、合併から10年以上が経過しているなかで、町の財政は厳しい状況にあります。

 それでも瑕疵が明らかになった以上、迅速に対応しなければなりません。補正予算を組む必要があるため、5月には臨時町議会を開会。議会の賛同を得て補正予算を成立させたうえで、還付を行いました。

 ほかに誤課税の事案があるといった問い合わせは、今のところ町内では出ていません。 それでも再発を防止するために様々な方策を立て、手を打っています。

 職員のダブルチェックによる事務処理体制の強化はもちろん、非課税の固定資産についてのマニュアルやチェックリストの作成を進めています。町として専門職を雇うのは難しいのですが、専門的な研修によって職員の知識の底上げなどを行います。同時に近隣の市や町、関係機関との情報交換もこれまで以上に図るなどしながら、今後同じことが起きないように対策を徹底していきます。