鉄道の街を標榜する京都府福知山市で、シンボル的存在の博物館が休館した。入場者数は伸びていたものの、建物の老朽化で一時閉鎖を余儀なくされた。「鉄道の歴史を作ってきた先人に申し訳ない。何とか続けたい」と話す。

(日経ビジネス2018年4月30日号より転載)

(写真=宮田 昌彦)
[福知山鉄道館ポッポランド館長]
足立和義氏

1938年生まれ。57年日本国有鉄道入社。SL機関車の運転士などを経て、94年鉄道部長。95年JR西日本退社。2010年西日本鉄道OB会福知山地方本部長。14年から福知山鉄道館館長も兼務。現在に至る。

SUMMARY

福知山鉄道館休館の概要

1998年開館。市が契約した土地・建物を活用し、地元商店街の店主が運営委託を受けてきたが、2014年に西日本のOB会福知山地方本部が市から年200万円の委託料で業務を引き継いだ。無料施設であり運営は市の財政に頼っていたため、市の交付金見直しにより休館となった。なお蒸気機関車を展示する2号館は存続する。

 3月31日をもって福知山鉄道館ポッポランド1号館は休館しました。休館といっても廃館のようなものです。

 1998年に開館し当初は市が管理していた鉄道館の運営を、我々西日本旅客鉄道(JR西日本)のOB会福知山地方本部が受託したのは2014年でした。以来、直近4年間は入場者数が伸びていて、昨年度は年間2万人を突破。今年2月には開設累計30万人の入場者を達成できました。それだけに残念でなりません。

 昨年の夏に市から、現在鉄道館として使用している場所は老朽化が進んでいるので、一旦鉄道館を閉鎖して、移転先を探してほしいと言われました。現在の施設は、市が所有者と賃借契約を結んでいるものですが、昭和初期にできた建物で、地震が起きた時に耐えられないし、何か事故が起きても市として責任が取れんというのです。移転先探しの猶予は2年で、それまでに適切な場所が見つからなければ、鉄道館事業自体、見直されるとのことでした。

移転地探しに苦戦

 ぱっとはしごを外されたような思いでした。

 そうは言っても何もしなければどうにもならないので、新しい移転場所を懸命に探しました。商店街はご多分に漏れず閉店している店が多く、シャッター街となっています。展示物をいくつかの空き店舗に分けて運営する方法もありましたが、貸してもらえませんでした。

 本人がよくても、子供が相続の問題への懸念から断るケースが多かったですね。ほかの場所も探してはみましたが、福知山市内では適した場所が見つかりませんでした。町おこしを考えている地域なら共通する課題ではないでしょうか。そうこうしているうちに3月31日を迎えてしまいました。

 ポッポランドは1998年に入場無料施設として開館しました。国鉄時代の制帽や切符など貴重な品々を500点以上展示しています。中には時価100万円以上する展示物もあります。

 開館当初は商店街の一角にあったこともあり、近所の店主が運営をしていましたが、写真と模型を展示しただけで面白みに欠けていました。これではリピーター客にはならず、2000年代には1万人ほどで低迷しました。

 無料施設ですから入場者が増えても収入が増えるわけではありませんが、それでは存在意義はありません。