石原:反対する人にはホント聞いてみたいよ、「ではどうするんですか?」とね。

 あれだけ広域の範囲が被災して、何千万トンという瓦礫やゴミが発生した。それを速やかに取り除かなければ、東北地方の復旧なんてできっこない。避難生活を送っている被災地の人たちに、ずっとゴミの中で暮らせって言うんですか。だったら、力がある東京都が動かんといかんでしょう。

 だから反対する人がいたら「黙れと言え」と部下に指示したんだ。東京都は瓦礫の処理を闇雲にやっているんじゃなくて、きちんと科学的にやっている。被災地のために、日本のために、ゴミ処理でも高い能力を持つ東京都が先頭に立つ。それは都知事である私の責任であるし、それこそが政治家の役目だよ。

 案の定、「石原は傲慢だ」と批判を浴びたが、一切構わずに仕事を進めた。結局、4年間で東京都は16万7891トンの災害廃棄物を処理した。副次的な効果もあった。災害が起きた際、自治体や民間事業者が協力して災害廃棄物を効率的に処理する仕組みが出来上がった。それは、(2013年に起きた)伊豆大島の土砂災害の処理でも生かされている。

批判を受けてもやるべきことをやるのが政治家だ、と。

石原:この際だから言わせてもらう。いつから日本人は、こんな利己的な国民になったのかね。

(写真:村田 和聡)

 震災の直後、被災地を日本全国で支え合おうという機運が高まり、「絆」なんて言葉が流行したよな。でも、たかだか瓦礫ひとつ処理するだけで、なぜ助け合うことができないんだ。「ウチには小さな子どもがいる」と何度も何度も反対の電話をかけてくる女性がいた。その人は、被災地にだって子どもがいる、という至極当然のことがなぜ分からないのか。

 ここまで来ると、他人のことを、目の前で困っている人の痛みを、おもんばかることができるかどうか、想像力の問題ですよ。皆が皆、自分のことばかり、自分さえ良ければそれでいいと考えている。そんな国は衰退に向かっているとしか言いようがない。「絆」なんて言葉が白々しく聞こえるよ。

我欲が政治の体たらくを招く一因

震災の直後に、いわゆる「天罰」と発言されたのも、自分さえ良ければいいという日本人が増えてきたことに対する警鐘ですか。

石原都知事が『津波をうまく利用して、我欲をうまく洗い流す必要がある。積年に溜まった日本人の心の垢を。これはやっぱり天罰だと思う』と発言したことに対し、不謹慎だと批判が起きた

石原:あれもメディアに随分とねじ曲げて報道された。私は「被災された方には非常に無残な言葉に聞こえるかもしれませんが…」と言葉を添えて言ったのに、「石原」「天罰」という部分だけがクローズアップされた。

 私はね、日本全体が弛緩してきたので1つの戒めだという意味で言ったんだ。私だけじゃないんですよ。関東大震災のときも新渡戸稲造とか、当時の代表的な知識人が、「これは天罰だ」と言っているんですよ。大正デモクラシーでみんなが浮かれて、ふわふわしているときに関東大震災が起きた。そういう意味で僕は言ったんですよ。