2015年6月22日号目次
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PART1
企業を揺さぶる「普通の株主」
資本効率や株主還元に関心の薄かった企業が慌てふためいている。高まる株主からの要求を受け、次々に経営計画や配当増を打ち出した。今年から本格的に始まる「ROE総会」が、あらゆる企業に変革を迫る。
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PART2
踊り出す投資家 沸き立つ市場
株式市場に異変が起きている。高ROEをうたうだけで株価が上がる。アベノミクスが市場を揺さぶり、投資家を「もの言う」存在に変えた。投資家の圧力は企業の行動を変え、市場はますます過熱しつつある。
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PART3
持続力を見極めよ
経営目標としてROEを掲げ、今年の株主総会で投資家に説明する企業は多いだろう。しかしROEが高いからといって優良企業とは限らない。「1期だけ高ROE」「利益は少ないが高ROE」…といった企業が交じっているからだ。
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PART4
脱・後ろ向きROE 解は1つじゃない
怒涛のように企業に押し寄せるROEと株主還元ブーム。圧力をかわすのではなく、成長への活力に変えられるかが問われる。株主の目線を生かして企業を変えつつある事例から成長の条件を探る。
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成長につなげるために.1
株主目線で会社を作り直し
コニカミノルタが5月に発表した中計には大手企業としては珍しい内容が盛り込まれていた。これまで見たようにROEは収益性(売上高利益率)と効率性(総資産回転率)、財務レバレッジ(総資産/自己資本)の3要素を掛け合わせてはじき出される。コニカミノルタはこの3要素すべてに数値目標を掲げ、具体策を盛り込んでいたからだ。例えば収益性では「業容転換を進める」とした。
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成長につなげるために.2
脱・ROEで事業に落とし込む
オムロンは2014年10月、約100億円を投じてブラジルの医療機器大手NS社を買収した。ぜんそくなど呼吸器系疾患を治療する「吸入器」のブラジル最大手。買収でオムロンはオランダのフィリップスを抜き、吸入器の世界最大手に躍り出た。ぜんそく患者だけでなく、大気汚染が深刻化する新興国の需要も取り込む方針だ。
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成長につなげるために.3
株主との向き合い方、自分本位で
突き詰めれば、今年、企業が直面しているのは株主との新たな向き合い方だ。そこでも先進的な取り組み例がある。「必要な投資と仕入れ先への支払いなどに備えた短期資金を除けば、キャッシュは全て株主に還元する」プラスチック部品メーカー、エンプラスの株主還元の考え方は極めてシンプルだ。液晶LED(発光ダイオード)光源を拡大するプラスチックレンズをけん引役に、同社は2015年3月期までの3年で売上高を91.3%増の397億円、純利益も同7.2倍の79億円に伸ばした。