「日本を、長寿を悲しむ国にしてはいけない」103歳の現役医師、聖路加国際病院名誉院長の日野原重明は言う。「長寿世界一」は日本の誇りである。だが、老人の医療費負担が現役世代に重くのしかかる。 2000年に約30兆円だった国民医療費は2025年に50兆円を突破。支え手の負担が限界を超えれば、社会は長寿を寿げなくなる。コスト構造をゼロから見直し日本航空(JAL)を再生した京セラ名誉会長の稲盛和夫は言う。「医療に従事するすべての人が経営マインドを持てば、できることはまだまだある」医療という「命のインフラ」をどう守るか。まずは2人の賢者の提言に耳を傾けよう。
=文中敬称略(編集委員 大西 康之、編集委員 庄子 育子)
(イラスト=浅賀 行雄)