2015年5月18日号目次
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序章 アベノミクスが微笑まなかった人々
「話が違うよ、安倍首相」
2013年より本格化したアベノミクス。異次元金融緩和を核とする、過去に例の無い金融政策が日本経済を再生させるかは未知数だ。それでも、現時点で国民の多くが確信していることがある。「安倍政権下で進んだ円安により、少なくとも輸出産業は息を吹き返した」がそれだ。だが、この数年で壊滅的打撃を受けた輸出産業も存在する。
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PART1
円安が効かない4つのパターン
円安なのに儲からない産業や企業には、それぞれの事情がある。共通点は、最新の環境変化に対応しきれていないことだ。業界の「勝ち組企業」を襲った変化とは何か。彼らはどうすればよかったのか。
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円安になれば、国内業者の海外での競争力はおのずと高まる。だが、市場が消えてしまえば、売り上げが増えることはない。そんなミステリー小説さながらの状況に、日本を代表する輸出産業が陥っている。
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取引通貨は対円で上昇し、海外に顧客も存在する。そんな状況でも、苦境に陥っている輸出産業は存在する。共通するのは、いざ円安になり打って出ようと思ったら、「グローバルで戦う競争力」が失われていたことだ。
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円安になれば輸入産業はコストが上昇する。それでも多くの内需型企業がアベノミクスに期待したのは、日本経済のエンジンである輸出産業が息を吹き返せば、景気が回復し、原料高を補う値上げ余地や売上増が見込めると考えたからだ。ところが実際は…。
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輸出産業の中には、生産拠点を海外に移すなど、事業構造を完全に円高対応に切り替えた企業も存在する。彼らにとって、「今さらの円安」は災厄以外の何物でもない。
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「円滑化法」効果が薄れれば更なる悪化も
今後も多発する恐れの「円安倒産」
今年3月19日、スポーツ用品販売のリージェント・ファーイースト(兵庫県)が自己破産を申請した。同社は阪神タイガースを代表するエース、故・村山実氏が設立し、社長を務めていたことで知られる。
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好調ツガミが下方修正した事情
為替フリーでも意外な“円安被害”
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PART2
為替変動に打ち勝つただ一つの方法
円安の悪影響は日本社会全体へ広がる恐れがある。儲からない企業ほど迅速な対応が必要だ。一方で、為替は原理的に誰にも予測できず、再び円高局面に入る可能性もゼロではない。1ドル60円にも300円にも対応する。そんな経営に向けてできることは一つしかない。