昨年からの「ピケティ・ブーム」で、格差論議がかまびすしい。しかし日本の格差の本質は、ピケティ氏の学説で注目された富裕層の占有にではなく、中間層の没落と貧困の拡大にある。月に10.2万円に満たない額で生活する人は、約2000万人。後期高齢者より多いこの層を放置すれば、国の衰退は必至だ。福祉を慈善のようにではなく、投資としてとらえ直す時が来た。
(中川 雅之)

- 相対的貧困率
- 経済協力開発機構(OECD)や欧州連合(EU)、ユニセフ(国連児童基金)など国際機関で使われる、その国の貧困や格差の状況を表す指標の一つ。年収が全国民の年収の中央値の半分に満たない国民の割合を指す。
CONTENTS
- PART1普遍化した困窮介護、リストラ「まさか自分が」
- PART2問われる「稼ぐ力」“教育ゲーム”が将来を奪う
- PART3貧困対策の真価眠れる潜在力を呼び起こせ
- Epilogue誰も1人でなんて生きていけない