2015年2月23日号目次
-
PROLOGUE
日本よ案ずるな まだ「家」がある
タイ・バンコク中心部から10kmほど北上した幹線道路沿い。家具や雑貨などインテリアをテーマとした巨大なショッピングモールの一角に、戸建てのモデルハウスが1棟立っていた。建て売り中心で注文住宅の文化がないタイでは、モデルハウス自体、珍しい。
-
PART1
ハウスメーカー、海を渡る
ASEANや中国、豪州、米国に、日本のハウスメーカーが大挙して進出し始めた。文化やコストの壁から、現地での職人育成まで、解決すべき課題は山積する。だが、現地での日本製住宅に対する評価は、着実に高まりつつある。
-
ASEAN 編
「何で富裕層向けだけなんや。中間層向けをやらんと」。昨年5月、マレーシアを訪問したパナソニックの津賀一宏社長は、同行した幹部にこう命じた。マレーシアではパナホームの現地法人が2013年から300万リンギット(約1億円)を超える高級住宅を手掛けている。
-
中国 編
同じアジアでも中国市場はASEAN市場とはまるで様相が異なる。中国では、土地は全て国有のため、住宅供給の方法は大きく2つしかない。1つ目は、デベロッパーが土地を政府から借り上げるか、政府が農村の集約を目的にして自らマンションや戸建て住宅を開発する方法。
-
先進国 編
豪シドニー中心部から50km内陸に位置する小さな市、カムデン。伝統的なレンガ壁の平屋住宅がずらりと並ぶ新興住宅地で、きれいな白い壁の一軒家が独特の存在感を放っていた。3カ月前に近隣都市から家族4人でカムデンに引っ越してきたジュリー・アルフォンゾさんの家だ。
-
住宅は「先輩」から学べ
先兵は「トイレ」と「高層建築」
住宅に先行して、トイレなどの住設メーカーの海外進出は既に発展期に突入している。今後、海外戦略を本格化させる住宅各社が「先輩」から学ぶべき点は多い。インドネシアの首都ジャカルタ郊外にある雑居ビル。現地企業がオフィスとして利用するこのビルのトイレには「TOTO」の文字が並ぶ。従業員の一人はこう話す。
-
PART2
世界制覇、原理的には可能
海を渡り始めたニッポンの家の主役は、大手が担う「工業化住宅」だけではない。中小企業の間では、和の技法を駆使した“真の日本住宅”を輸出する動きも出始めた。新興国の中間層から先進国の超富裕層まで広大なフロンティアは確実に存在する。