2015年1月12日号目次
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プロローグ
「1ドル=130円、140円…。いや、1998年当時の147円が再来するのではないか」──。生活雑貨などの製造販売で年間2670億円以上を売り上げるアイリスグループ。日本だけでなく中国や欧州、米国にも販路を持つ同グループを率いる大山健太郎会長の目に今映るのは、150円近くにまで進行する「最悪」の円安の世界だ。
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PART 1
昨年12月、円相場は1ドル=120円を突破した。本誌緊急調査で、多くの企業が円安を前提に経営戦略を転換したことが明らかになった。日本経済は、その形を大きく変えようとしている。
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PART 2
為替の変動を原動力に変えて飛躍を狙う企業が今、続々と登場している。海外市場を持つグローバル企業はもちろん、内需企業も「逆転の発想」で立ち向かう。ピンチをチャンスに変えろ──。その最新の動向を追った。
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COLUMN 1
「このままでは春まで会社が持たない。どうか助けてほしい」2014年10月下旬、名古屋市の地方銀行の一室。住宅設備の部品を作る中小企業の経営者は、為替が同年9月の1ドル=102円から108円に急落し、メーンバンクに駆け込んだ。
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COLUMN 2
今回の円安局面は過去と異なる様相を呈している。1985年のプラザ合意以降の為替相場を見ると、円高によって国内産業の空洞化が進行した節目が幾度もあった。直近では東日本大震災をきっかけに1ドル70円台の超円高となり、国内の工場が海外移転を再び加速する引き金となった。
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PART 3
昨年末の衆院選でアベノミクスの継続が決まり、円安の基調が続くとの見方が多い。円の「実力」は42年ぶりの弱さを示し、この円安を前提とする日本経済の再構築が急務。日本の新陳代謝を促す好機と捉え、中小企業、成長産業、独自技術を鍛えなければならない。