PROFILE
1980年生まれ。2002年、東京大学卒業後、東京三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行。2005年、ミドリムシ関連事業のユーグレナを起業。

(写真=大槻 純一)

「えこひいき」でも構わない
目標通り女性管理職を増やせ

 政府は女性管理職の割合を「2020年までに30%」にする目標を掲げた。この数値目標には賛否両論あることだろう。中でも「女性を過度に優遇し男性に不利になるのではないか」という声が反対意見に多い。だが、仮にそうしたことが起きたとしても、ここは目標に向かって断固進むべきだと考えている。

 日本の社会において、女性が男性に比べて働きづらい環境にあることには異論がないだろう。であるならば、数値目標を立て、それに向かって進むことが環境を変える一番の近道だ。日本人の気質にも合っている。

 日本の現状の女性管理職比率は11%程度なので今後、大きな変化が起きることになる。そこには不安があって当然だが、ここでデメリットをあげつらってしまうとどんどん保守的になり、最後には面倒になり、結局、変革できずに頓挫することになりかねない。

 今はとにかく目標に向かって進むことで、ベビーカー通勤のしづらさや保育園、託児所の未整備などの問題をあぶり出して、早期に解決していくことを優先してほしい。極端な女性優遇が起きて問題になれば、その時に、修正していけばいい。始める前から文句を付けず、もっと柔軟に考えた方がいい。

 私がそこまで女性活用にこだわるのは、男女の比率が半々であることによる職場の多様性の重要さを実感しているからだ。それどころか、男女の多様性のない会社は今後、生き残れないとまで考えている。

 ユーグレナの社員の女性比率は現在、4割強。来年度には男女、半々になる見通しだ。今年10月には初めての女性管理職も生まれた。このまま進めば、無理をしなくても数年後には女性管理職の比率も5割に近づくだろう。

 ユーグレナの製品は男性、女性、両方に向けている。世界の人口は男女ほぼ同数なのだから、作り手も男女同数なのは自然なことだと考えている。

 高度成長期であれば、体育会系の男性が10人集まって、1つの製品を一気に売り込んだ方が市場を席巻できたかもしれない。だが、その方法はまねされやすい。他社が同じような製品を同じような営業スタイルで売り込めば、たちまちやられてしまう可能性もあるだろう。気合で売る、システムで売る時代は終わり、感性やストーリーで売る時代になると、作り手、売り手の多様性が勝負を分けることになる。そこでは男女のバランスが絶対に必要だ。

 既にユーグレナの化粧品は、若手の女性とベテランの男性課長の2人を中心に開発し、販売している。化粧品だからと女性社員だけを集めることは避けた。男性だけ、女性だけの組織は硬直しがちでいいアイデアが生まれない。

 私が男女の多様性にこだわるのは、商材のミドリムシの研究に長く携わってきたこともある。ある特定のミドリムシを培養するとき、当然ながらそのミドリムシには多様性はない。効率よく培養すれば一気に増やせる反面、環境変化に弱い。ひとたび負の変化が起きれば培養池のすべてのミドリムシがあっという間に死滅することもある。

 環境変化に柔軟に対応するためには多様性が必要だ。これは生物学的に言えることで、現在の経済環境に当てはまることでもあるのだ。

日経ビジネス2014年12月22日号 128ページより目次