高揚する金融市場は実体経済を先取りしているのか、「あだ花」で終わるのか──。日銀の追加金融緩和による株高効果が続く中、安倍晋三首相は消費増税の先送りを決断。国民の信を問うとして、衆院解散・総選挙に踏み切った。期待感をあおり、経済を引き上げるアベノミクスだが、市場と実体の差は一向に埋まらない。街角の景況感は経済指標の数値以上に厳しく、頼みの海外需要は視界不良が続く。円安・株高が民間投資の喚起、そして実質賃金の上昇に結びつかないのはなぜか。景気回復を阻む要因を探る中で、「アベノミクス景気」再浮上のヒントが見えてきた。

(主任編集委員 田村 賢司、清水 崇史、林 英樹、ニューヨーク支局 細田 孝宏、長野 光、上海支局 小平 和良、ロンドン支局 蛯谷 敏)
(デザイン=藤田 美夏)

CONTENTS

解散で舞い上がるのは市場だけ

第1章
街角景気、通説の嘘

第2章
「外需が牽引」の幻想

第3章
民が射る3本の矢



日経ビジネス2014年12月1日号 26~27ページより目次