今年は、東レにとって記念の一年となる。会長の榊原定征氏が経団連のトップに就任し、売上高と営業利益が今期、ともに過去最高となる可能性が高い。「ユニクロ」との協業の象徴である「ヒートテック」は累積販売枚数が4億枚を超え、世界最大の総合繊維メーカーとして、誰もが仰ぎ見る存在となった。強さの源泉は長期的な視点に立った素材開発力にあるが、従来のやり方だけでは市場の変化についていけない面も見えてきた。88年かけて構築した「勝利の方程式」を磨き直し、再び攻める経営を志向する。

(林 英樹、齊藤 美保、小笠原 啓)

売上高・利益共に繊維が基幹事業
●東レの2014年3月期セグメント別業績
※[セグメント名]営業利益
注:グラフ内の比率は売上高構成比。営業利益はセグメントごとに計算するため、合計は連結業績と異なる。()内は前年同期比

CONTENTS

PART 1
最後の繊維メーカー

ファーストリテイリング会長兼社長
柳井正氏 インタビュー
未来の教科書に載る世界一の異業種コラボ

PART 2
石の上にも50年 執念で生き残る

PART 3
東レ 日覺昭廣社長 インタビュー
たとえ赤字でも撤退はあり得ない

PART 4
「深は新なり」に潜むワナ

日経ビジネス2014年10月27日号 26~27ページより目次