「地球環境は危機に瀕している。人類を火星に移住させなければならない」そう語った学生のイーロン・マスクを周囲は「クレージー」だと相手にしなかった。それから20年。ゼロから始めた挑戦が世界の巨大産業を揺るがしている。航続距離が500kmを超える電気自動車をヒットさせ、自動車業界の常識を覆した。宇宙ロケットの打ち上げを成功させ、NASAから有人宇宙船も受注した。目標はもっと先にある。すべてのクルマを電気自動車にし、激安で宇宙へ行けるロケットを開発すること。実現すれば21世紀の産業革命と言えるほどのインパクトがある。
=文中敬称略(日経エコロジー編集部 大西 孝弘、山崎 良兵)
イーロン・マスク(Elon Musk)のプロフィール
1971年6月、南アフリカ共和国生まれ。95年、米ペンシルべニア大学で経済学と物理学の学位を取得後、米スタンフォード大学大学院に進学するも中退。99年、インターネット決済のペイパルの前身企業を創業。2002年、宇宙ベンチャーのスペースXを起業し、同社CEO(最高経営責任者)。2004年に、創業期のテスラ・モーターズに出資し、2008年から同社CEOも兼任。映画「アイアンマン」の主人公のモデルとしても知られる。
CONTENTS
PART 1
巨人たちを脅かす 危険な革命児
PART 2
大風呂敷に隠された したたかさ
PART 3
宇宙を100倍身近にする
人類の危機を救う 英雄の条件
イーロン・マスク氏 インタビュー
企業を成長させるより 世界に役立ちたい
日経ビジネス2014年9月29日号 28~29ページより
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