年間10万人もの人が介護を理由に職場を去る。この数字は近い将来、跳ね上がる可能性がある。介護をしながら働き、企業が把握してない人は1300万人。あなたの会社のエース社員がある日、突然いなくなる──。経営の土台を揺るがしかねないリスクに向き合う時が来た。

(武田 安恵、清水 崇史、山根 小雪、白壁 達久、主任編集委員 田村 賢司)

CONTENTS

PART1
「総介護時代」がやってくる


経営者よ、今こそ向き合え
介護経験トップが語る苦悩と教訓


PART2
会社を襲う 離職のリアル


PART3
先駆企業と広がる格差

「隠れ介護」とは

本人もしくは配偶者の親が要介護者の就業者のうち、その事実を会社が把握していない人を指す、本誌の造語。兄弟や姉妹などが主に介護を担っている人も含まれる。東レ経営研究所ダイバーシティ&ワークライフバランス研究部の渥美由喜・研究部長兼主席コンサルタントの協力を得て試算した。


試算方法は以下の通り。(1)総務省「就業構造基本調査」などを基に、年齢別の社員構成割合を算出 (2)第1子出生年齢の過去データ(国立社会保障・人口問題研究所などの統計)、および親の生存状況(国立社会保障・人口問題研究所「第6回世帯動態調査」2009年度)を基に、社員の年齢別に見た親の年齢構成および生存状況を算出 (3)厚生労働省「介護給付費実態調査」(2011年11月審査分)、総務省統計局「人口推計」(2011年11月確定値、85歳以上については10月1日現在)などを基に、親の年齢別に要介護になる確率を算出 (4) (1)~(3)を組み合わせ、就業者本人もしくは配偶者の親が要介護の割合を年代別に算出 (5) (4)と年代別就業人口、渥美氏の調査による「介護を勤め先に明かしている人は全体の5%程度」であることを考慮して算出した

日経ビジネス2014年9月22日号 28~29ページより目次