7月30日、午前8時30分。
オリックス本社36階の役員会議室で、戦いの火蓋は切られた。
左側に陣取るのは、ローソン会長(当時)の新浪剛史氏ら6人の社外取締役。手元に用意された資料を入念に読み込む。この日の議案は、2014年4~6月期の業績だ。
「現在の事業環境をどう見ている」
「最近、資金調達の状況はどうか」
矢継ぎ早に投げかけられる質問に、右側の井上亮グループCEO(最高経営責任者)らオリックス経営陣が切り返す。通期の業績目標に向け、順調に推移している状況を説明した。
オリックスのように、社外取締役が半数近くを占める企業はまだ一握り。ただ、「社外の目」が経営を厳しくチェックするコーポレートガバナンス(企業統治)が、これからの主流になる。会社法の改正も手伝い、社外取締役を迎えた東証1部上場企業は7割を超えた。
従来、ガバナンス改革は不祥事を防ぐ経営の透明性向上が主目的だった。 今回の本丸は「成長」の2文字だ。
6月に政府が発表した成長戦略では、「ガバナンス強化」が重点項目の1つに掲げられた。経営効率をチェックし、成長に向け助言できる社外取締役をもっと活用する。それなくして、国内外から投資を呼び込むことは難しい。
社外取締役を巡る議論は、「導入すべきか否か」のステージから、「どう機能させるか」に移った。
社外の声を聞き、時に意見をぶつけながらも前に進む「戦う取締役会」へ脱皮できるかどうか。今、その岐路に立っている。
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PROLOGUE 経営者の提言
社外取締役 攻めの時代へ
サントリー次期社長・新浪氏が語る
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