景気低迷に覆い隠されていた日本経済の弱点が、白日の下にさらされた。労働力の供給が細る中、景気が回復して構造的な人手不足が露呈。「ブラック批判」を浴びる一部の企業にとどまらず、業種を超えた様々な企業で人材の確保が困難になりつつある。過去20年、低賃金で解雇が容易な非正規社員への依存を強めてきた日本企業だが、それでは来るべき「採用氷河期」を乗り切れない。限りある人材を“使い捨て”にする経営と決別する。それが実現できない企業に未来はない。

(広岡 延隆、西 雄大、中 尚子、坂田亮太郎、山崎 良兵)

人手不足の深刻化で、仕事の負荷が高まり、非正規社員の反乱が起きている。そのしわ寄せは、穴埋めをする正社員にも重くのしかかる(イラスト=左右田 薫)

CONTENTS

PART 1
バイト反乱で営業不能

ワタミ・桑原豊社長インタビュー
大量閉店で人手不足を解消

PART 2
「正社員化」ブームの理想と現実

「限定正社員」に3つの懸念

PART 3
今こそ、「人材」経営

「採用氷河期」が到来 備えはあるか

日経ビジネス2014年5月19日号 22~23ページより目次