携帯、デジカメ、液晶関連の苦戦で大幅な赤字に転落した業績が急回復している。競争環境が激しいデジタル関連事業を縮小。独自性が発揮できる分野に注力する。利益率の向上に取り組むが、改革は道半ばだ。新分野も開拓し、捲土重来を期す。

デジタルカメラ「TRシリーズ」で自分撮りをする女性。発売イベントには多くの女性が集まった(上海市)

 自拍神器(ズーパイシェンチー)──。「自分を撮影するのに“神様”のように優れた機械」と呼ばれるデジタルカメラが、中国で大ヒットしている。カシオ計算機のコンパクトデジカメの「TRシリーズ」だ。2011年の発売以来、インターネットの口コミなどで話題を集め、20代の女性の強い支持を受けて販売を伸ばしている。

 驚くべきはその価格だ。昨年6月に発売した上位機種の「EX-TR350」の実売価格は6000元(約10万円)。一般的なコンパクトデジカメは価格下落が著しく、中国でも日本円換算で1万~2万円程度が中心価格帯だ。カシオのTR350の価格は、実にその5倍以上。現地で販売されているキヤノンやニコンの一眼レフカメラよりも高い。それでも、中国のネット通販サイトのランキングでは、1000元(約1万7000円)前後のコンパクトデジカメと並び、トップ5の常連になっている。