2014年3月10日号
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特集 東北モデル
地域ブランドの再構築
「袖が短い。編み直してください」。高級手編みニットを製造する新会社「気仙沼ニッティング」社長の御手洗瑞子(28歳)は、メジャーを手に完成直前の商品を鋭い目で見つめる。
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特集 東北モデル
運命の7人、東北に挑む
「新しい東北」が切り拓かれようとしている。混沌の被災地で、産み落とされた再建の原動力。日本の古い慣習や常識に戦いを挑む7人の物語を。
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特集 東北モデル
少子高齢化と医療過疎
診療時間が終わり、誰もいなくなった病院の待合室を、赤ちゃんを抱いた母親があやしながら歩いている。昼下がり、病院は時間が止まったかのような静寂に包まれる。だが、そんな平穏を裏切るような現実に目を奪われる。
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特集 東北モデル
買い物難民
宮城県の盆地に日が落ちかけると、小学6年生の柿崎真佑は、いつものように自動販売機に向かった。闇夜が訪れる前に、父と自分の飲み物を手に入れ、雪道を県営団地へと戻っていく。いつから、ここで買うようになったのだろう。
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特集 東北モデル
肥満児・引きこもり
顔面にドッジボールを受けて以来、少女は大のスポーツ嫌いになった。「あんなにつらくて、汗かいて。どこが面白い?」。スポーツの力を信じていなかった少女はそれから40年が経ち、福島の復興を支えるリーダーになっていた。
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特集 東北モデル
「悲しみを乗り越えて」
1995年の阪神・淡路大震災から19年余り。皆が地震のことを忘れかけている時に、3・11は起こった。東日本大震災を機に「地震のある国に生まれた覚悟」を改めて思う。それは、起伏の激しい日本の地形が生み出す豊かな自然の恩恵とともに、受け入れなければならない「民族の定め」でもある。
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特集 東北モデル
地方における起業
武井智宏(39歳)は7年前、上の妹を自殺で亡くしたことを訥々と話し始めた。「妹は割と変わった性格でね、人付き合いも下手だったんですよ。行く先々、あまりハッピーにはならなかった」。妹は、最後は鬱で苦しんだ。
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特集 東北モデル
地域のしがらみ
「自分勝手な生活をしている自分が死んでしまえばよかった」陸前高田市のNPO法人「桜ライン311」代表の岡本翔馬(31歳)は震災後、こんな悲痛な思いにさいなまれ続けた。
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特集 東北モデル
「3・11の核心」
相手を信頼せず自分の利益だけを確保しようとした結果、最大の利益をもたらす着地点を選べなくなることを「囚人のジレンマ」と呼ぶ。経済学におけるゲーム理論の一つだが、今の原発推進派と反対派の互いに一歩も譲らない状況と非常に構図が似通っている。
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特集 東北モデル
第1次産業の再生
かつてフェンシング日本代表にもなった男は、敗北を一切、恐れない。ここ一番という時にはリスク覚悟で、相手の懐に飛び込む。常に前へ、前へと突き進む。「ここだ!と判断した時の、その一手はすごい」。大学時代の恩師、山口隆弘はこう分析する。
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特集 東北モデル
天変地異から始まった
これほど自然災害に見舞われてきた国がほかにあるだろうか。日本の歴史を振り返ると、必ずそこには大災害の記録が残っている。幾度となく悲しみを乗り越えた先祖たちの上に、我々は生きている。
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特集 東北モデル
米ハリケーン・カトリーナがもたらした ニューオーリンズの変革
日本同様、海外でも大災害を機に都市が発展したケースがある。代表的なのが米国・ニューオーリンズだ。かつては米国有数の貿易港として栄えた都市だったが、近年は人口の高齢化という社会問題に直面していた。人口の20%が貧困層で、治安も悪かった。
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特集 東北モデル
尊い犠牲が、新しい日本を生んだ
記録的な大雪に見舞われた先月。停電や道路は寸断され、都市機能がマヒした。100年に1度の大雪災害で人々が翻弄される中、孤立した中央自動車道談合坂サービスエリア(SA)で起きたささやかな出来事は、久々に我々の心に染みた。