ミラノの空港に到着した本田圭佑。ガッリアーニとバルバラの関係は最悪(下)(写真=ANSA/アフロ、Maurizio Borsari/アフロ)

 一昔前なら耳を疑うような話だ。ACミランの赤と黒のユニホームに日本人が袖を通す。しかも、背番号は「10」。そんな夢物語を本田圭佑は現実のものとした。

 本田の加入に対する現地の反応は極めて肯定的だ。日本代表のザッケローニ監督もその活躍を確信する1人で、「理由? それは彼に強い個性があるから。ミランでは、マラドーナのように技術がいくらあっても、強い個性がないと長く持たない」と伊紙の取材にコメントしている。

 ただ、今の名門には不安要素もある。今季は巨額を投じた補強が実らず、昨年終了時で13位。低迷が続く中で、古株のアドリアーノ・ガッリアーニ副会長と、シルビオ・ベルルスコーニ名誉会長の娘である29歳のバルバラ氏の対立も明るみに出た。昨年末に和解し、現場をガッリアーニ氏、商業面などをバルバラ氏が統括する方針が示されたが、2人のCEO(最高経営責任者)兼副会長が肩を並べる状況では、いつまたお家騒動が持ち上がるか分からない。

 だが、それらピッチの外の問題は、本田自身がピッチ内で結果を出すことで解決されるだろう。結局、クラブやサポーターは現状を打破する救世主の到来を待ち望んでいるのだ。

 中田英寿がペルージャに移籍した初年度からセリエAの取材を続ける倉石千種氏は「成功するには精神的な強さが求められるでしょう」と分析する。気持ちの強さでいえば、本田は突出した選手。いつ、どこでプレーしても、心だけはぶれない。ミランでもそのスタイルを貫ければ、その先に栄光が見えてくるかもしれない。

(文=佐藤 岳)

日経ビジネス2014年1月20日号 84ページより目次

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