安倍晋三首相の靖国神社参拝後、中国でデモや不買運動などの過激行動は見られなかった。だが、欧米企業などに比べ日系企業の存在感低下には、歯止めがかからない。静かだが着実に進行する日中の「経冷」を打破する手立てはあるのか。

 安倍晋三首相の靖国参拝から2週間がたった1月中旬の中国・北京市。「先月と何ら変わりないですよ。(2012年秋の)尖閣諸島問題では一時的に店を閉めたけれど、今回は何の準備もしていません」。トヨタ自動車の合弁会社、一汽トヨタの販売店に勤める女性中国人店員は言う。

 そして、彼女はクルマの説明をしたあとにポツリと漏らした。「日中関係が良くないのは今に始まったことじゃないし、正直言って慣れちゃった。日常には関係ないもの」。

 中国販売が一見、平静を保つのはトヨタだけではない。日系のコンビニエンスストアやデパートでも店頭では客足に変化は見られないという。富士通は1月10日に上海で「富士通フォーラム2014」を開いた。「ふたを開けてみれば政府関係者を含め、1000人以上の来場者が集まってホッとした」(中国総代表を務める森隆士・執行役員常務)。

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