なぜあの会社は強いのか――。注目企業の戦略・戦術を多角的に掘り下げ、強さの秘密に迫るケース・スタディです。日経ビジネスの専門記者が取材して執筆します。
シリーズ
企業研究

275回
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アパグループ、20年11月期は黒字 「狭さ」逆手に踏みとどまる
新型コロナウイルスで大打撃を受けたホテル業界。アパグループが踏みとどまっている。稼働率は一時、1~2割まで落ち込んだものの、夏場から盛り返し、2020年11月期は黒字を維持した。狭小地の建物に狭い部屋、需給に応じた値付け…
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学研ホールディングス、危機抜け出し11期連続増収
少子化で子供向けの出版事業が停滞し一時は経営難に陥ったが、事業の多角化を通じて経営再建を果たした。高齢者向け住宅などの医療福祉分野をゼロから育てたほか、eラーニングや学習塾事業も成長させ11期連続の増収に。ブランド価値や…
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理化学研究所の変身、世界一の「富岳」で結実
世界ランキングで1位になったスーパーコンピューター「富岳」の本格運用が3月に始まる。利用者が驚くのはその使いやすさ。孤高の存在だった先代の「京」から一変した。産業界から「近寄りがたい」といわれてきた国の研究所の意識改革が…
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コーセー、雪肌精の成功体験を捨てる 35年ぶりリブランディング
コーセーが看板商品の雪肌精で、35年ぶりにロゴを変えるなどブランド戦略を見直した。ロングセラーに育てた過去の成功体験のため社内は改革に慎重だった。それを抑えて進めた全面的な刷新だ。看板商品を見直した理由は何だったのか。そ…
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丸和運輸、アマゾン射止めた物流の新星
創業以来、企業間物流を得意としてきたが、ここへきて個人宅に荷物を届ける「宅配ビジネス」が急伸中。原動力となっているのは、2017年から始めた米アマゾン・ドット・コムとの地域限定の配送取引だ。大手がひしめく物流業界にあって…
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7期連続で増収増益の桃屋、営業の力で定番がよみがえった
桃屋が息を吹き返している。1980年代の3分の1程度まで落ち込んでいた売上高が反転し、7期連続で増収増益となった。4%だった営業利益率を9%に引き上げた原動力は営業だ。現場の抜本改革で定番の魅力をよみがえらせた。
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ホンダ、タイ発カブで「らしさ」再発見
二輪車の旗艦ブランド「カブ」で、アウトドア人気やリターンライダーの需要をつかんだヒット商品が生まれた。 日本とタイの企画・開発チームが連携し、柔軟な発想でホンダらしいものづくりを実現する挑戦があった。 定番商品の伝統を守…
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コロナ危機、自力で生き残る もがくANAホールディングス
コロナ禍の発生からおよそ1年、ANAホールディングス(HD)はまだ苦境から脱していない。危機にさらされ、これまで減便やグループ外への出向などあらゆる対策を大規模に打ち出した。一度つくった想定に縛られず、行動に行動を重ね、…
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ベイシアグループ、非「グループ一丸」で1兆円到達
活況のホームセンター業界で首位を奪還したカインズ。職人向けの作業服を一般向けに訴求して躍進したワークマン。両社はともに群馬県発祥のベイシアを中核とするベイシアグループの一員だ。個性的で勢いのある2社はなぜ同じグループから…
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自転車文化、自ら育てるシマノ シェアトップの慢心越える
技術力を武器にシェアトップの不動の地位を築いたものづくり企業が今、力を注ぐのが自転車文化の創造活動だ。自転車による地域活性化を縁の下でサポート。自転車の地位向上と企業の成長は切り離せないとの思いがある。生産・開発の現場に…
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急増ネットスーパー需要、アプリで取り込み狙うイトーヨーカ堂
新型コロナウイルスの感染拡大によりネットスーパーの需要が増えている。各社が顧客獲得にしのぎを削る中、イトーヨーカ堂は専用アプリを投入し、事業拡大に乗り出した。外部の力を借り、顧客視点のサービスを徹底。近年の低迷から反転攻…
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ダイフク、「殿様商売」しない物流の巨人 10年間で時価総額20倍
物流システム世界最大手として、過去10年間で時価総額を20倍以上に増やした。システム構築事業者でもある強みを発揮し、EC(電子商取引)市場拡大の黒子役となっている。その強さの秘密は、半世紀以上前にトヨタと磨き続けたDNA…
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自由自在に組織を変える アフラック生命保険の変革術
保険商品の提案から契約までをオンラインで完結するサービスを国内生保でいち早く開始した。契約数の伸び悩みが続く中、デジタル技術を活用したサービスや業務の変革に活路を見いだした。矢継ぎ早に変革を進める裏にあったのは、組織を自…
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ステーキチェーンのブロンコビリー、成長の源は店長育成にあり
コロナ禍で大打撃を受けた外食業界にあって、いち早く営業損益が黒字に転じた。20年近くにわたる高級路線と地道な原価低減の取り組みが実を結び、地力を見せている。その源泉は店長だと竹市克弘社長は言う。FCを出さず、全店直営。会…
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NEC、社長の陣頭指揮で「やり抜く文化」を根付かせる
中期経営計画で示した業績目標の未達を、何度も繰り返してきたNEC。社内に「やり抜く力」を定着させようと信賞必罰を徹底したところ、1年前倒しで売り上げ目標を達成。電機業界の「名門」復活に向けて、社長が陣頭指揮を執った。
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エーザイ、ESGは慈善ではなく実利
企業に求められるESG(環境・社会・企業統治)に、本音では懐疑的な経営者もいるのではないだろうか。投資家が環境対策を中心に必要だと主張するから、産業界はやむなくかじを切ってきた面がある。エーザイはESGに伴う公益活動が、…
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11期連続増収のフジッコ、買い手の本音を究極まで探る
市場の声を商品に反映していくマーケットインの考え方は製造業にとって欠かせなくなっている。だが、それをどこまで徹底できているだろうか。多くのメーカーでは“聞き逃し”が機会損失を招いている。買い手の不満を満足に変えるため、フ…
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ノーベル賞、陰の立役者 電子顕微鏡で世界トップの日本電子
世界最先端の研究施設で使われる、物質の構造を観察する電子顕微鏡で世界トップのシェアを誇る。ノーベル賞級のトップ研究者のネットワークに入り込み、現場の細かなニーズを把握し提案できるのが強みだ。装置だけでなく設置工事やシェア…
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コロワイドのTOB成立 大戸屋HD、企業防衛は1日にして成らず
コロワイドによる大戸屋ホールディングスへの敵対的TOB(株式公開買い付け)が成立した。大戸屋HDの敗因は複数あるが、根本はそもそも買われやすい状況を作り出してしまったことだ。買収を仕掛けられた時点でほぼ勝負あり。企業防衛…
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デジタルは社風も変える 損保の殻を破ったSOMPO
この5年、デジタル化で既存事業の生産性向上と新事業創出を進めた。スタートアップ企業から新技術を導入する一方、社外の人材を積極的に登用し自社でもアプリ開発まで取り組む。損保の殻を破る改革は、社風や組織の体質も変え始めた。今…
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小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明
「ピース・オブ・ケイク(a piece of cake)」は、英語のイディオムで、「ケーキの一片」、転じて「たや…
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徹底予測2021年 底打ちか奈落か
日本経済の節目の年として幕を開けた2020年は、誰もが予想できない最悪の1年となった。すべての始まりはコロナ禍だ…
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クルマ大転換 CASE時代の新秩序
総付加価値額が450兆円ともされる自動車産業の構造が変わり始めた。GAFAやEVスタートアップ、ソニーなどが新た…
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不屈の路程
話題の経営者や気鋭の起業家はいかにして自らの経営を確立するに至ったのか。そこにたどり着くまでの道のりは決して順風…
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菅野泰夫のズームイン・ズームアウト欧州経済
ロシアを足掛かりに、欧州経済・金融市場の調査を担当して、既に十数年の月日がたちました。英国の欧州連合(EU)離脱…
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1000年企業の肖像
日本は創業100年以上の企業が多くあり、世界一の長寿企業大国として知られる。その中には創業1000年を超えると伝…
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10 Questions
いま、世の中で起こっていること。誰もが知りたいと思っていること。でも、ちゃんと理解できていないこと。漠然と知って…
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河合薫の新・社会の輪 上司と部下の力学
上司と部下が、職場でいい人間関係を築けるかどうか。それは、日常のコミュニケーションにかかっている。このコラムでは…
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ファクトフルネス思考
「データを基に世界を正しく見る習慣」を紹介した書籍『ファクトフルネス』は、日本で90万部を超えるベストセラーとな…
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大西孝弘の「遠くて近き日本と欧州」
日本の読者にとって欧州のニュースは遠い国々の出来事に映るかもしれない。しかし、少子高齢化や低成長に悩み、企業の新…
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グルメサイトという幻
食べログ、ぐるなび、ホットペッパーグルメ──。外食店探しに欠かせない存在となったグルメサイトの地位が揺らいでいる…
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フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える
この度、故有りましてこの日経ビジネスオンライン上で、クルマについて皆様と一緒に考えていくナビゲーター役を仰せつか…
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ファストリ、異次元の経営
コロナ禍の混乱からいち早く抜け出したファーストリテイリング。破綻が相次ぐアパレル業界にあって、なぜユニクロだけが…
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テスラが仕掛ける電池戦争
日本でも2030年代半ばに新車販売でガソリン車をゼロにする方針が打ち出されるなど、各国の環境規制強化により普及段…
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70歳定年 あなたを待ち受ける天国と地獄
従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年…
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