シリーズ
シリーズ検証

-
弛緩
1月25日、土曜日。容疑者逮捕の一報に、アクリフーズと親会社のマルハニチロホールディングスは、午後10時半から会見を開いた。だが、警察の捜査などを理由に曖昧な回答を続けて質問が終わらず、午前0時を回る。
-
温床
「50人の従業員を、ほかの会社で働かせてもらえないか」2月下旬、群馬県大泉町役場は、アクリフーズからそんな要請を受けた。毒物混入事件の舞台となった工場は操業停止に追い込まれ、再開まで半年から1年ほどかかる見込みだ。そこで…
-
審判[最終回]
昨年11月半ば、JR北海道の職場は極度の緊張状態に入った。突然、男たちが乗り込んできて、「検査員証」をちらつかせる。「これから鉄道事業法第56条に基づき、立ち入り検査を実施します」
-
挫折
2000年8月8日、運輸省の会議室で、鉄道局次長の石川裕己ら、鉄道行政の担当官と、JR北海道、JR九州、JR四国の「3島会社」の幹部がテーブルを挟んで向かい合っていた。議題は「株式の上場について」。
-
怨恨
2005年4月25日朝、JR西日本福知山線で列車が猛スピードでカーブに突入し脱線、転覆。107人の死者を出す大惨事となった。それから連日のようにJR総連系の少数派労働組合、JR西労の関係者がテレビに登場する。
-
皇帝
2005年10月27日、天皇皇后両陛下主催の秋の園遊会が赤坂御苑で開かれた。2100人の招待者の中に、宇宙飛行士の野口聡一や女優の竹下景子などと並び、JR北海道の副社長、柿沼博彦の姿があった。
-
呪縛
この構図はすぐに問題化する。翌82年から、中曽根康弘内閣は国鉄の分割民営化を進めていくが、民営化後の北海道会社の経営問題に悩まされる。このままでは毎年500億円の赤字を重ねて破綻することが見えていたからだ。
-
堕落
昨年11月22日、衆議院国土交通委員会は、JR北海道の回答に騒然となった。運転士が、ATS(自動列車停止装置)の操作ミスを隠蔽するため、ハンマーで叩き壊す「前代未聞」の事件があった。大事故につながりかねない危険な行為へ…
-
閭夊ヮ
徳川幕府が倒れてわずか十数年後の1880年のこと。「蝦夷地」と呼ばれた北限の地、北海道は住民もまばらで、人口は日本のわずか1%にも満たない状態だった。ところが、19世紀の「産業革命の象徴」がこの地に突如として出現し、人…
-
臨死
煙を吸い込み、何度も嘔吐した。真っ暗なトンネルで、目の前に祖母の幻影が浮かんだ。俺は死ぬんだ──。そう覚悟した。
-
病巣
昨年11月13日、JR北海道本社の記者会見場に、久々に社長の野島誠の姿があった。体調不良で入院したのは2週間余り前のこと。3日前に退院こそしたが、細い体つきや表情の乏しさから「健常」にはほど遠い様子がうかがえた。そんな状…