シリーズ
シリーズ検証

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躊躇
東京電力管内で160万件に上るLPガスやCATVなどの契約顧客を抱えるTOKAIホールディングス。社長の鴇田勝彦は、政府が6月にまとめた2030年度の望ましい電源構成(ベストミックス)を巡る議論を注視していた。
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深謀
「日本は立ち止まらない。野心的な政府案を取りまとめた」。6月8日、ドイツで開催された主要7カ国首脳会議(サミット)。首相の安倍晋三は、2030年の温暖化ガス排出量を2013年比26%減らす案を表明した。
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角逐
「良くも悪くも彼がいなければ、東京電力の改革や電力自由化はここまで進まなかった」。首相官邸や自民党のベテラン議員が口をそろえてこう評する東電幹部がいる。 東電取締役の嶋田隆。東日本大震災による原子力発電所事故で、賠償や廃…
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背水
「ソフトバンクグループは携帯電話や通信回線だけでなく、それ以外のコンテンツを売るのも得意です」。今年3月下旬、東京・汐留にあるソフトバンク本社。訪問した東京電力常務執行役の山崎剛と執行役の西山圭太を相手に、ソフトバンクの…
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性善──最終回
東洋ゴム工業の偽装発覚後に、国土交通省が大臣認定を取り消した同社製品は3つある。その全てに日本免震構造協会という業界団体が「指定性能評価機関」として関わった。大臣認定とは建築基準法で位置付けられた制度で、評価機関が作成し…
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補償
東洋ゴム工業は5月12日、2015年~3月期の連結決算で免震ゴムのデータ改ざん問題の製品補償引当金として140億円の特別損失を計上したと発表した。これに伴い最終損益は30億6300万円の赤字に転落。
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杜撰
4月21日と24日、東洋ゴム工業は断続的に記者会見を開いた。そこで明らかにしたことを整理すると、おおむね以下のようになる。まず21日。偽装を初めて公にした3月13日にデータを改ざんした物件は55物件だとしていたが、これと…
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混乱
中京地区のベッドタウンにある分譲マンション。JRの主要駅から徒歩数分の好立地で、3月に完成したばかりだ。しかしこの物件、どこか異様さを漂わせている。夜になると周囲のマンションには明かりがともるが、そのマンションは暗いまま…
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萌芽──最終回
2012年にコメの販売事業を株式会社化し、集荷するコメの全量を上部組織を通さず、直接販売している福井県のJA越前たけふ。全国農業協同組合連合会(JA全農)以外から肥料を独自に仕入れるなど、農協の横並び体質を打ち破るような…
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孤立
「実は、全国農業協同組合中央会(JA全中)を擁護する声は、JAグループ内からほとんど出なかった」。政府関係者は、全中を標的にした農協改革の議論の経緯をこう振り返る。
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巧妙
「こんなに早く決着するとは思っていなかった。作戦勝ちだったね」「岩盤規制」改革の象徴と位置付けていた農協改革。もくろみ通りの仕上がりに、首相の安倍晋三は周辺に満足げな表情でこう話す。
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妥協
3月19日、自民党の農林部会などの合同会議。政府・自民が2月にまとめた農協改革案に基づく農協法改正案の骨子がこの日の議題だったが、紛糾する場面もなく了承された。激論の末に固まった2月案からの修正点で目に付くのは、全国農業…
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帰結
「我々は以前なら間違いなく赤字になっていた環境で利益を出した。どことは言わないが、本当の問題はほかにあるはずだ」。シャープの液晶部門幹部は不満げにこう漏らす。暗に名指しするのは、2015年3月期に120億円の赤字を計上す…
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過信
「高精細化が難しく、応用範囲が狭い技術。お薦めはできませんよ」。昨年夏以降、シャープの液晶部門の幹部は、大口顧客を前に、ある“技術”を否定する発言を繰り返していた。技術の名は「インセル」。通常は2層に分かれているタッチパ…
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裏目
2015年3月期業績の下方修正から10日後の2月半ば。シャープは液晶事業の記者説明会を開いた。同事業の競争力低下に対し、急速に拡大する懸念を払拭するためだ。「当社が『一人負け』しているとの記事があるが、そうした事実は認識…
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弛緩
「一時期より収益が上向いてきたので、来年は新卒者を採用できると思います」シャープが大型液晶テレビ「アクオス」の生産拠点、栃木工場を構える栃木県矢板市。市のハローワーク担当者に同社から“朗報”が届いたのは、2014年6月の…
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再生――最終回
1月28日、夜7時。茨城県庁の空港対策課にどよめきが起こった。NHKの速報で、茨城県にとって最悪のニュースが流れたのだ。「スカイマーク 民事再生法申請へ」2010年に民間供用化された茨城空港で、国内線を運航しているのはス…
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隙意
「デューデリジェンス(資産査定)を通して、スカイマークの持つ強みと弱み、成功の形を理解してもらった」。民事再生法の適用を申請した国内3位の航空会社スカイマーク。破綻後、前社長の西久保愼一に代わって社長に就いた有森正和はこ…
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代償――最終回
2014年9月3日、15人の重軽傷者を出した新日鉄住金名古屋製鉄所(愛知県東海市)の爆発事故。新日鉄住金は直後の発表で、事故原因について次のように指摘している。「コークス炉石炭塔内ホッパーに水分の少ない石炭が長時間滞留し…
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断絶
「こんなことも知らないのか!」新日鉄住金名古屋製鉄所(愛知県東海市)では、ベテラン社員が若手の未熟な行動に驚愕する場面が日常的に見られる。最近もこんなことがあった。