「証券業界の革命児」こと松井社長。日本で初めて本格的にオンライン証券を開始。古い慣習を破り捨て、斬新なアイデアで業界の度肝を抜いてきた。今も「一日信用取引の金利はゼロ」「NISA手数料恒久無料」など同業他社に挑戦状を叩きつけている。そんな松井氏が見る2014年とは?

松井氏の予想
  1. いずれ貨幣価値は10分の1に
  2. 今後の成長は規制緩和次第
  3. シルバー民主主義に未来はない
  4. 若者がビジネスの決め手に
(写真:的野 弘路)

 この間、新橋のガード下をぶらぶら歩いていたら、英語を話す外国人の集団に出くわしました。何をしゃべっているのかなと聞き耳を立てていたら、いろんな店を覗いては「オー、チープ、チープ」と言っている。昔は逆で、「エクスペンシブ!」という言葉がそこら中で聞こえていたのにね。

 考えてみれば、日本はもうずっとGDP(国内総生産)が上がっていないけど、欧米諸国はすごく上がりましたから。彼らの所得も3倍から4倍になっているはずです。ほんと日本人って世界と比べると貧乏になったよね。

 そんな中で2014年の話題ですが、いよいよ物価が上がり出すのではないかと思っています。「牛丼1杯3000円時代の幕開け」になってもおかしくないんじゃないかな。

 きっと貨幣価値は10分の1になります。それがいいインフレになるのか、物価だけ上がって所得が上がらないスタグフレーションになるのか、どっちに転がるのかはいろんな見方があるけど。

 突拍子もないことに聞こえるかもしれないけど、同じようなことがここ20年の間に起こっている。日経平均が3万9000円だった頃、米国のダウ工業株30種平均は2700ポイント。今よりケタが1つ少ないんですよ。

 それを考えれば、バブルの頃から半値8掛けになっている日経平均がゼロが1つ増えて15万円に、牛丼の値段もゼロが1つ増えて3000円になってもおかしくないでしょう。

若者に3倍の発言権を与える

 だからといって、私は日本がもう終わりだとは思っていません。日本はまだまだポテンシャルの高い国です。農業や医療とか、規制を取っ払ってしまえば伸びる産業がたくさんある。2014年に規制改革がどうなるかで、今後の状況は大きく変わってくるはずです。

 一番のカギを握るのは若者ですよ。人口の半分が年寄りになるとかいう話があるけど、これまでの歴史の中で年寄りが歴史を変えたなんて話、聞いたことがない。世の中に変化をもたらすのはいつの時代も若者です。

 少子高齢化が進むからこそ、日本はもっと若者の力を引き出さなければならない。今、私が勝手に考えているのは、若者の意見を重用するために、世代の価値・エネルギーを「余命×人数」で指数化してしまうこと。例えば、私は2013年で60歳。人生80歳と仮にすれば、余命20年で1×20=20になります。これが20歳になると余命60年ですから1×60=60です。20歳の人に、私の3倍の力を与えてしまう。こうすればシルバー民主主義なんてことにもならない。

 ビジネスでも同じです。2014年以降、成功するにはもっと若い人が何を考えて、どういう価値基準で行動しているかを物差しにしていかないと。

 例えば、今の若者は会社に対する帰属意識が低い。自分の会社を「我が社」なんて言わないしね。お昼ご飯を会社の人と一緒に食べたりする人も減ったよね。個人と組織のつながり、関係性が明らかに変わってきている。

 こういう若者の動きを「今時の若者は…」と一言で片づけていてはダメ。日本人の感性や価値観が変わってきた証しと認めないと。若者の考えや行動を理解しろとは言わないけど、少なくとも認識はしなくちゃ。そうしないと、2014年どころかいつまでたっても日本は変われませんよ。(談)

日経ビジネス2013年12月30日号 47ページより

この記事はシリーズ「特集 異色企業家だけに聞いた 2014年大胆予測」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。