第2次世界大戦後、ドイツでは「社会的市場経済」という考え方が生まれた。自由市場経済における競争のダイナミズムと成長の牽引力を失うことなく、いかに適切に利益を配分しながら弱者を救済するか。そこに配慮した経済モデルが、ドイツでは機能している。その過程で、フォルクスワーゲンのような国有企業も民営化されてきた。そのため、フランスと比べて経済に占める国有企業の比率は少ない。

 企業のガバナンスも独自だ。ドイツでは、株主還元を第一に考えるアングロサクソン型のモデルをそのまま取り入れることはしなかった。顧客や従業員、取引先、株主を含めたステークホルダー(利害関係者)全体に配慮するのがドイツの哲学。経営者は、その前提で会社の将来を考える。

(写真:稲垣 純也)

 背景には独特の歴史がある。1920年代、世界を大恐慌が襲った。ドイツは特に高い失業率とインフレに苦しめられ、それが結果的に、ナチス政権の誕生、そして第2次世界大戦へとつながってしまった。