絶大な人気を誇り3期目に突入するメルケル首相に、最大の試練が訪れている。国内では格差拡大への対処を迫られ、海外からは「独り勝ち」批判が強まっている。内憂外患への舵取りは、欧州連合(EU)の将来を左右する。

(熊谷 徹=ドイツ在住ジャーナリスト)

熊谷 徹(くまがい・とおる)
NHKワシントン支局特派員などを経て、1990年からフリージャーナリストとして独ミュンヘン在住。著書『ドイツは過去とどう向き合ってきたか』(高文研)など。日経ビジネスオンラインで「熊谷徹のヨーロッパ通信」を連載中。

(写真:AP/アフロ)

 「国民は私に強い信頼を示してくれた。私はこの信頼に対し、責任感を持って応えていく」──。

 今年9月末のドイツ連邦議会選挙で圧勝した首相のアンゲラ・メルケルは、こう宣言した。その後、メルケル率いる中道右派の与党、キリスト教民主同盟(CDU)は、最大野党で中道左派の社会民主党(SPD)との連立協議を重ね、その期間は2カ月間にも及んだ。

 長期にわたる交渉は、今後のメルケル政権の運営が一筋縄ではいかないことを暗示する。だが、無事に3期目を全うすれば、12年間首相を務めることになる。メルケルの「育ての親」、元首相ヘルムート・コールの16年に匹敵する長期政権だ。

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