TPP交渉が大詰めを迎え、一大転機に直面する国内農業。「攻めの農業」の切り札として農林水産物の輸出増に期待が高まっている。官民双方の取り組みが本格化する中、ハードルの高さも浮き彫りになってきた。

 「今年は昨年の40倍、10トンの黒にんにくが海を渡る」。農業生産法人・柏崎青果(青森県おいらせ町)の柏崎進一社長は自信をのぞかせる。青森産の黒にんにくを自ら栽培・加工し、北米や香港など20近い国・地域で販売。今年から英国、オランダなどでも本格的に売り出す。

 海外で販路を拡大してきた秘訣は現地での消費者の好みや価格に関する綿密な調査にある。柏崎社長自ら現地のスーパーなどに直接赴き、1店舗当たり2~3日かけてテスト販売を行うのが通例だ。今では青森産の黒にんにくは「ワインやフォアグラに合う」と口コミで広がり、米ニューヨークのスーパーでは中国産などに比べ2倍の高値がつくという。

 TPP(環太平洋経済連携協定)交渉が大詰めを迎える中、政府はコメの生産調整(減反)の5年後の廃止などの農業改革を本格化。同時に、国内農業を強くする切り札として2020年までに農林水産物・食品の輸出額を現状の約4500億円から1兆円に倍増する目標を掲げる。産地の農協や地元業者、大手企業などが取り組みを強化し、経団連とJAグループが農産物の輸出拡大策を検討するなど、これに呼応した動きが急速に広がっている。

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