2013年12月2日号
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特集 東電解体
私たちは納得できない
止まった原子力発電所を順次再稼働させ、東京電力の改革は社内分社化程度にとどめる。小泉純一郎元首相が、安倍晋三政権や東電のこうした路線に反旗を翻した。
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特集 東電解体
汚染水、もれるため息
福島第1原子力発電所では、現場の士気低下から単純ミスが相次いだ。背景には東京電力経営陣による汚染水問題への対応の遅れがある。今の組織体制で、原子炉解体作業を完遂することはできるのだろうか。
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特集 東電解体
破綻、はなから棚上げ
「東京電力任せ」だった原発事故対応からの転換を進める安倍晋三政権。東電をほぼ今のままの姿で存続させ、除染などに国費を投入することが固まった。国民不在の中、利害関係者の思惑を優先する「結論ありき」の構図が浮かび上がる。
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特集 東電解体
東電をかばうためではない
与党として東京電力福島第1原子力発電所事故への対応に関する提言をまとめ、安倍晋三首相に要請した。除染や、それに伴う廃棄物を保管する中間貯蔵施設の建設などの一部を国も負担し、帰還よりも新しい生活を選びたい人への対応も求めた。東電の経営体制については廃炉や汚染水対策関連部門の社内分社化などを促した。
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特集 東電解体
社内分社は甘すぎる
東京電力が進める社内分社では国民負担が際限なく膨らむ恐れがある。法的整理は金融機関の打撃が大きい分、国民の負担が減少する。資産を可能な限り売却し、できるだけ多くの費用を捻出すべきだ。
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特集 東電解体
「損失隠し」はもう限界に
東京電力は2013年度上期(2013年4~9月期)に、福島第1原子力発電所の事故以来、初めて経常黒字になった。2011年4~9月期に赤字に転落して以後2年ぶり。
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特集 東電解体
電気料金半減の条件
東京電力の弱体化を受けて、首都圏では新規勢力が躍進しようとしている。前章で指摘したような分割、売却が進めば、電気料金の引き下げや多様化も見込める。一方、既存の電力大手は復権へ仕掛けも。競争環境整備へ骨太の議論が欠かせない。
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特集 東電解体
「減原発」の道しるべ
東京電力を東京電力を巡る問題の根幹にあるのは日本が原子力発電をどう位置づけるかということだ。小泉元首相の「即ゼロ」発言は代替エネルギーや既にある使用済み核燃料などの課題が残る。数十年かけて原発を減らしながら代替エネルギーを開発する「減原発」を探るべきだ。
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特集 “越境M&A”の成否[前編]
“越境M&A”の成否
日本企業によるM&A(合併・買収)で、派手な案件が相次いでいる。まずソフトバンクが今年7月、米携帯電話第3位のスプリントを1兆8000億円もの巨費を投じて買収を完了。その2カ月後には半導体製造装置世界3位の東京エレクトロンが世界首位の米アプライドマテリアルズとの経営統合を発表する。
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特集 “越境M&A”の成否[前編]
グローバル化に焦り 戦略不在の見切り発車
「トヨタ自動車に捨てられるかもしれない」――。2006年6月、日本板硝子は6000億円超を投じて、英国の同業ピルキントンを買収した。当時、売上高の8割を国内で稼いでいた内弁慶企業を突き動かしたのは、最大の顧客である自動車メーカーだった。
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特集 “越境M&A”の成否[前編]
相手の文化まで理解した 統治体制を築けず
今年9月、第一三共の社内に衝撃が走った。2008年11月に約5000億円で買収したインドの後発薬大手、ランバクシー・ラボラトリーズ。同社のインド国内の工場の1つが、品質問題で米食品医薬品局(FDA)から米国輸出禁止措置を受けたのである。
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特集 “越境M&A”の成否[前編]
“越境M&A”の真の リスクを理解しきれない
「出向命令は人事権の乱用」──。リコーの退職勧奨を拒み、子会社に出向させられたのは不当だとして、社員2人が元の職場への復帰を求めた訴訟で、東京地方裁判所が今年11月12日、出向命令を無効とする判決を言い渡した。