アベノミクスの恩恵で業績上方修正が相次いだ銀行業界。だが、貸し出しが伸び悩んでいる状況は相変わらず。不動産の駆け込み特需の中、住宅ローンは低金利競争が続く。

 関東地方のある地方銀行に勤める30代の男性行員は最近、週末になると住宅展示場に通い詰めている。会社には内緒の「サービス休日出勤」。住宅ローンの顧客を獲得したい一心から出た行動だ。「購入を検討する人をつかまえては声をかけている。目標達成に向けて、手段は選ばない」。男性行員はこう話す。

 アベノミクスによる株高と景気回復の恩恵で、メガバンクを中心に銀行の業績が上向いている。その陰で、住宅ローンを巡り、熾烈な顧客獲得競争が起きている。「住宅ローンは厳しい状況にある」。11月14日、2013年4~9月期の決算発表の席で、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の平野信行社長は本音を吐露した。

 業績が改善傾向にある銀行業界だが、本業とも言える貸出金による利益は伸び悩んでいる。貸出金利回りから預金等利回りを差し引いた国内預貸金利ざやは、2013年4~9月期で、MUFGが傘下の2行合算で前年同期比0.11ポイント低下の1.04%、みずほ銀行は0.06ポイント低下して1.06%、三井住友銀行は0.1ポイント低下して1.4%といずれも減少した。

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