ペット飼育人口が減り、関連市場が過渡期だ。人とペットの垣根が消えつつある中、新手の産業も出現。生き残りをかけた業者のせめぎ合いが始まっている。

橋本 幸二
富士経済 大阪マーケティング本部 第一事業部 主任
2000年、富士経済入社。毎年自社で実施するペット産業に関する業界調査において関連団体、メーカーなどに対するフィールド調査を通じ、市場動向の現状把握、市場の行方を分析する。

 ペット関連市場が転換期を迎えようとしている。調査によればペット飼育率は34.5%と昨年の調査と比較すると2.3%減少した。主な内訳は犬が16.2%、猫が11.1%である。

 犬に限れば、2003年に登録頭数57万5792頭のピークを迎えて以降、減少を続け、2012年は35万1114頭。犬種でいえば1位がプードル、2位チワワ、3位ダックスフントと上位を小型犬が独占している。

 一時期、シベリアンハスキーやレトリーバーなどが流行したが、大型犬飼育は既に時代遅れ。大型犬はエサ、トリミング、医療費などすべてにおいてコスト高。さらに「介護」となれば一大事である。今後はますます、ペット犬の小型化が進むだろう。

 日本の人口動態同様、ペットも少子高齢化傾向にある。去勢、避妊手術の普及に加え、2000年初頭までのペットブームが沈静化し、その時飼育を始めた犬・猫が死期を迎えている。

 ペット数の減少、小型化はペット市場を縮小傾向へと向かわせるが、市場全体がさほどダメージを受けていないのは、飼い主のペットに対する考え方の変化が大きい。

 1つはファッション感覚で飼育する人が減り、ペットを家族の一員としてきちんと向き合う傾向になってきていること。疾病予防のための健康診断や、高機能フード・サプリメントの使用などにカネをかけるようになっている。

出所:富士経済、ジャパンケネルクラブ(犬登録数)

法改正で殺処分増加に懸念

 ペット市場において伸びているのがペット保険である。2010年には約52万件の契約数だったが、2014年には95万8000件まで上昇する模様。

 今後の市場は、ブームを作り得るよほどのインパクトがない限り、中長期的には平行線か減少をたどることになりそう。さらに今年9月に改正された動物愛護管理法が、業界関係者を悩ませている。改正の目的はペットの家族化に伴って、殺処分を減らし、業者や飼い主に責任ある管理を促すものだ。

 だが、それが裏目に出る可能性も否めない。同法により、ホームセンターなどでの犬・猫の展示販売が午後8時以降、禁止された。また、今後は生後56日以下の犬・猫の販売も禁止。犬が生後2カ月も3カ月も経てば、見た目はかなりごつい。つまりヨチヨチした愛くるしい子犬をショップで見ることがなくなるというわけだ。すると飼育希望者の購買意欲の減退も起き得る。結果的に売れ残った犬や猫は殺処分されるという、矛盾をはらんでいる。

 一部で「ペットブーム過熱」との報道も見られるが、実際は、参入企業の生き残りをかけた熾烈な競争が繰り広げられている。

(構成:鵜飼 秀徳)

日経ビジネス2013年11月25日号 24ページより目次

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