「スマートフォンの進化は行き詰まっているのではないか」

 特集の取材でお会いしたあるメーカーの幹部にこんな質問をぶつけたところ、「登場時に比べれば進化の速度は緩やかになったかもしれないが、それは自動車も同じ。むしろスマホ産業そのものは自動車産業に似てきている」との答えが返ってきました。

 確かに先進国では機種変更の際に古くなったスマホを下取りし、新興国に輸出する中古ビジネスが急拡大しています。眼鏡型や腕時計型の「ウエアラブル端末」がもてはやされるのも、EV(電気自動車)や燃料電池車に対する期待とどこか重なります。この幹部の話す通り、普及期を迎えたスマホ産業は、かつて自動車産業がたどった道をなぞっているのかもしれません。

 ただ、モジュール化による水平分業のモノ作りが徹底しているスマホ産業は、すり合わせ技術が今なお残る自動車産業の進化の段階を既に追い越したと見ることもできます。グローバルな影響力を誇っていたトップブランドがシェア拡大に苦戦し、ブロック化した市場で新興メーカーが乱立するスマホ産業の今の姿は、実は自動車産業の行く末を暗示しているのかもしれません。

(白石 武志)

日経ビジネス2013年11月18日号 126ページより目次