2013年4~9月決算の発表が始まり、好業績をうたう企業が相次いでいる。政府が望むベースアップを決断する例もあるが、先行するのは株主還元や更新投資だ。「人件費はコスト」。社内の余剰労働力もあり、企業は賃上げに踏み切れない迷いを残す。

 2013年4~9月決算の発表が始まった。まだ前哨戦の段階だが、日立製作所だけでなく、村田製作所や富士重工業、LIXILグループが業績予想を上方修正した。キヤノンやコマツなど外需の伸び悩みに苦しむ姿もあるが、主要企業ベースの2013年度の経常利益は、前年度比30%台の伸びとなる市場予想を達成できるとの見方が多い。

 そうなると、次に気になるのが賃金。企業が賃金を底上げし、それが消費増税に伴う景気の落ち込みを上回ってこそ、脱デフレや財政再建への道筋が整う。10月17日、安倍晋三首相は経営者、労働界の代表を官邸に呼び、直接、賃上げを要請した。

政労使会議に出席した(左から)岡村正・日本商工会議所会頭、米倉弘昌・経団連会長、トヨタ自動車の豊田章男社長、日立製作所の川村隆会長(10月17日、首相官邸)(写真:共同通信)

 これにトヨタ自動車の豊田章男社長が「業績が上がれば、まず税金を払って社会に貢献し、従業員にも還元していく」と呼応。日立製作所の川村隆会長もベースアップについて「1つの選択肢」と明言した。

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