NTTドコモが料理教室大手「ABCクッキングスタジオ」を買収する。通信以外の領域で1兆円の売上高を創出するための戦略的な一手だという。海外M&Aを加速するソフトバンクとの違いがより鮮明になってきた。

国内M&Aを加速するNTTドコモの加藤薫社長(写真:時事)

 コンテンツプロバイダー向けに情報配信や課金などの基盤を提供するプラットフォーム事業者から、消費者に直接価値を提供するサービス事業者への転換を目指し、積極的なM&A(合併・買収)を続けるNTTドコモ。ただ、その「買い物かご」の中身は、時に本業の携帯電話事業とは縁遠いように見えることもある。

 2009年に買収したテレビ通販大手のオークローンマーケティングや、2012年に子会社化したCD・DVD販売のタワーレコードまでは、まだ何とか携帯電話事業との相乗効果が想像できた。ただ、2012年に野菜宅配大手の「らでぃっしゅぼーや」を買収したあたりから、ドコモのM&Aの方向性に疑問符がつくようになる。ドコモの加藤薫社長自身も「なぜドコモがダイコンを売るのかと何度も尋ねられた」と苦笑するほどだ。

 もちろん、ドコモ経営陣は藪から棒に企業買収を繰り返しているわけではない。同社は2015年度までにメディア・コンテンツやコマース、金融・決済などの「新領域」と呼ぶ通信以外の事業で合計1兆円の売上高を創出する中期経営計画を掲げている。ドコモの「iPhone」販売参入で大手3社の主力商品が横並びとなる中、加藤社長は国内の携帯電話市場について「キャリア(通信会社)の総合力が問われる新たな競争の時代に突入した」と言い、一連のM&Aはその総合力を高める施策の一環なのだと説明する。

次ページ 料理教室の模様を映像配信