人間ができていないせいか、税金を多く払いたいとは思いません。様々な公共サービスや社会インフラを保つためには税金が必要なことは頭では理解しています。ですが、自分の使えるお金が減ると思うと、一個人としてはどうしても増税を心からは喜べません。

 個人取引や、海外からの電子コンテンツの購入。今号の特集では、IT(情報技術)の進化で税金を払わずに商品を購入できる世界が広がっていることも紹介しました。世の中に私のような人間が多ければ、そうした取引はやはり増えるのだと思います。

 自社の利益を追求する企業が“節税”するのも、同じようなものかもしれません。水が高いところから低いところに流れるのと同じように、お金にも税率の高いところから低いところに集まる性質があるようです。今後はさらに、個人や企業が自由に税金を払う先を選べるようになるのでしょう。

 「高い税率で税収を確保しようという考えは、もはや通用しない」。以前取材した税理士法人関係者の言葉が耳に残っています。徴税する側からすれば、大変な時代になったと言えるでしょう。それでも、国にしっかりしてもらわなければ国民の生活は成り立ちません。

(中川 雅之)

日経ビジネス2013年10月28日号 148ページより目次