消費増税の実施は来年4月1日だが、契約と商品・サービスの受益のタイミングが異なる場合、いつから税率が上がるのか。『3月までに買うのが得か?』で触れたように、自動車の販売では契約日ではなく、ナンバーを発行する登録日で消費税の税率が決まる。

 前回の消費増税時の1997年とは大きく変わったことの1つはインターネット通販の拡大。国内のBtoCのEC(電子商取引)市場は2012年、約9兆円に達したと言われる。そのネット通販の場合、仮に3月中に購入ボタンをクリックしたとしても、業者の出荷が4月1日以降であれば8%の消費税が課されることになる。

(イラスト:トクマル ユウコ)

 金融機関の手数料はどうか。例えばATMの時間外引き出し手数料は4月1日以降、105円から108円に上がる。コンビニエンスストアなどに設置されている時間外引き出し手数料210円を取るATMでは、216円に引き上げられる見込みだ。

 振込手数料について、三菱東京UFJ銀行は「原則、3月31日までは他行向け振り込みは5%となるが、4月の消費増税後は8%になる」と言う。

しまむらは、3月末までに店頭に出した商品は販売価格を維持する(写真:朝日新聞社)

 ただし、当日中の他行への振り込み作業は原則午後3時までに手続きをしなければならない。それ以後にネットなどから振り込み手続きをしたり、外回りの営業担当者が伝票を持って帰ってきたりした場合は振り込み予約となり、実行は翌日となる。そのため、8%の手数料がかかる可能性もある。

 だが、4月1日以降の増税に対して、3月末時点で事前に徴収するということについて、異論も出かねない。どのタイミングで増税に踏み切るかの判断をまだ確定していない銀行がほとんどだ。三菱東京UFJ銀だけでなく、インターネット銀行のソニー銀行も「現在、何時までの取引をどう扱うかは検討中」という。

 結婚式の運営・企画を手がけるテイクアンドギヴ・ニーズの場合、挙式日やパーティー日が4月1日以降であれば、基本的に消費税は8%。ワタベウェディングも同様の方針だ。「競争が激化しており、増税のタイミングで値下げに踏み切る業者も出そう」と関係者は語る。

 スポーツクラブ大手のコナミスポーツクラブ(コナミスポーツ&ライフ)では、消費税を抜いた基本価格の変更は今のところ考えていないという。税率が上がった分だけ料金も上がるが、「客数には変化はないのではないか」と同社は見ている。基本的に月会費制なので、既存会員も4月以降の料金が上がる見込み。駆け込み需要も今のところない。スポーツクラブ業界では、低価格化ではなく、通いやすい料金体系の導入やカリキュラムの充実が競争軸になっている。消費税アップでも、単純な価格競争は起こりにくい。

500円ランチは価格を死守

 同じ店の中でも、4月1日から全商品で増税分の3%値上げするとは限らない。吉野家ホールディングスの河村泰貴社長は「2013年末までに吉野家全体の料金体系をどうするか決める」と話す。価格競争が厳しい外食では、他社の出方を探りながら価格戦略を練る神経戦が繰り広げられそうだ。

 サイゼリヤは一部のメニューでは増税分をそのまま転嫁して価格を引き上げるが、税込み価格で据え置くメニューも残す。何を据え置くかは、他社の動向を見ながら検討していくが、堀埜一成社長は「少なくとも500円ランチは価格を死守したい。そのために、半年間で粗利益率を増税分と同じ3%改善することで吸収する」と話す。

 表示を1つずつ切り替えるのにも手間がかかる。大手衣料チェーンのしまむらは「3月31日に店頭に並んでいる商品については4月以降も同じ価格で販売する」(野中正人社長)。その分、粗利益率が低下するが、手間やコストの方を問題視する。

 このほか、右の表に示したように当初から消費税が課税されない商品やサービスもある。増税前後の買い物では、どのタイミングで税率が上がるのか、そもそも消費税の課税対象になっているのか、といったことを再確認してみるといいかもしれない。

日経ビジネス2013年10月28日号 43~44ページより

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