民営化を巡って揺れ続けた日本郵政が上場に向けて活発に動き出した。米大手保険会社と提携して事業拡大を図り、上場時期の前倒しも探る。金融事業で収益を上げつつ、郵便局網の維持も目指す。(聞き手は 本誌編集長 山川 龍雄)

(写真:大高 和康)
西室 泰三(にしむろ・たいぞう)氏
1935年、山梨県生まれ。61年3月、慶応義塾大学経済学部卒業。同4月、東京芝浦電気(現・東芝)入社。92年取締役、95年専務、96年6月に社長に就任。社長在任中には、総会屋への利益供与事件や半導体事業の不振にも対応。同社会長を経て2005年6月、東京証券取引所会長に就任したが、ジェイコム株大量誤発注事件が起き、同年12月に社長を兼務して処理に当たる。2012年5月、郵政民営化委員会委員長に就き、2013年6月から現職。

約2万4000の郵便局網は保持
全国一律同じ条件で利用できる
ユニバーサルサービスを守る

 問 今年6月に日本郵政の社長に就任した直後、米保険大手のアメリカンファミリー生命保険(アフラック)との提携を発表し、大きな注目を集めました。日本郵政の事業構造を変えていくきっかけになりますか。

 答 まず、現在の日本郵政を取り巻く経営環境からお話ししましょう。当社が公社化された2003年から2011年までで、扱っている郵便物数は23.2%減少、貯金残高は23.9%減り、保険の保有契約数は43.0%減少しています。2013年3月期は5627億円の当期純利益を上げていますが、とても厳しいと言わざるを得ません。

 そのような状況でも、日本郵政にはしなければいけないことが2つあります。1つは、全国に約2万4000ある郵便局ネットワークを保持すること。もう1つは、保険、銀行、郵便など、全国どこでも一律に同じ条件で利用できるユニバーサルサービスを維持することです。

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