2013年10月21日号
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特集 相続ショック
親の危ない遺産10
相続の手続きをどうにかこうにか無事に終え、やっと平安が訪れたと思ったところで襲いかかる次の罠。「親の負の遺産」によるトラブルの発生だ。圧倒的に多いのが、“3大不良債権”に代表される不動産絡みのトラブル。さらには、自社株、借金、墓、話題の非嫡出子、引きこもっている兄弟…。エドヴァルド・ムンクの名画「叫び」のように、顔をゆがめて驚愕の叫び声を上げたくもなる。とりわけリスクが高い10のケースを下に列記した。思い当たるフシはないだろうか。
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特集 相続ショック
1 賃貸用アパート
空いた土地があれば賃貸経営すべし──。手持ちの資産を圧縮し、土地や建物にかかる税金が大幅に軽減でき、なおかつ、家賃収入が見込めるこの相続税制上、最大の節税スキームは、古くから資産家の間で定着してきた。だが「転ばぬ先の杖」のはずの賃貸経営が、相続が終わった後、思わぬ悲劇を招くことがある。
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特集 相続ショック
2 境界線が曖昧な土地
Bさん(63歳)は5年前、亡くなった父親から千葉県内の実家の土地と建物を相続した。妻とともに移り住み、実家から通勤していたが、定年を機に地方移住を決意。知人に土地と建物を売却しようとしたところ、思わぬ事態が発生する。
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3 空き家になった田舎の実家
Cさん(57歳)は今、母親の死後空き家となった群馬県内の実家を相続したことを心から後悔している。母親は心臓発作で急死したため、家の中は生前のまま残されていた。父母や兄弟と過ごした思い出の家で、仏壇もある。だからこそ、遺品整理業者を入れるとか、ましてや人手に渡すことなど考えもせず、そのままにしておいたのだ。
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4 共有名義の不動産
相続税の申告期限は原則、被相続人の死亡から10カ月。当事者にとっては、長いようで意外に短い。このタイムリミットが、結果としてDさん(45歳)を後々まで苦しめる契機となる。
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特集 相続ショック
5 未相続の山林や土地
代々同じ場所に住んでいると、その土地が誰の登記になっているか、意識することもないのかもしれない。群馬県内に住むEさん(48歳)は、3年前に父親を亡くした。
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6 分散した自社株
「70年も続いた家族経営の煎餅屋がこんな形で終わってしまうのか」。Fさん(48歳)は憤懣やるかたない思いだ。長女であるFさんには、5人兄弟の中で最も煎餅屋に尽くしてきたという自負がある。しかし、相続後の兄弟間のトラブルで、会社から追い出される格好になった。
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7 墓
東京都内の上場企業に勤めるGさん(55歳)は困り果てている。実兄が両親の墓の権利書を持ったまま、音信不通になっているのだ。5年前に父が亡くなった際、不動産は売却。すべてカネに換えて兄と半分ずつ分けた。
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8 借金
保証人にだけは絶対なるな――。家訓のように受け継がれている家庭も多いのではないだろうか。保証人になってしまい、他人の借金で自分の首を絞めるケースは後を絶たない。日本弁護士連合会によると、「保証債務や第三者の負債の肩代わりを原因として、破産等の手続きを申し立てた人」は破産債務者の約25%にも上る。
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9 愛人と隠し子
今年9月4日、結婚していない男女間に生まれた婚外子(非嫡出子)の遺産相続に関して、相続分を法律婚の子(嫡出子)の半分とする民法の規定について、最高裁が違憲判断を示した。最高裁は「子にとっては自ら選択、修正する余地のないことを理由に、その子に不利益を及ぼすことは許されない」と言及。
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10 兄弟がニート
税理士の田村康彦氏(仮名)が、その家族会議に参加してから既に5時間が経過していた。田村氏の前には、3人の男がずらり。40代後半の長男を筆頭に、30代の次男、三男。それに加えて、“長男の嫁”が、にらみを利かせている。嫁の手にしっかりと握られているのは100万円の支払請求書だ。
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特集 相続ショック
相続で町医者がいなくなる
庶民の相続はカネやモノ、不動産など有形のものがほとんど。だが、世の中には目に見えない相続も存在する。医師など有資格者の家系で、子弟に承継してゆく「のれん」の相続だ。開業医の親が、医師免許を持つ子に。寺の住職が跡継ぎの息子に。ひとたび承継すれば、持続的にキャッシュフローを生み続けるが、実は庶民には理解し難い火種を抱えている。ある医師の相続トラブルの実例をご紹介しよう。
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介護や墓、意外なトラブルが
遺産分割に関する紛争の件数は2012年で約17万5000件(全国の家庭裁判所が扱った家事相談件数のうち相続関係のもの)、30年前に比べると3倍近くに達している。2012年の被相続人数(死亡者数)が約125万3000人だから、相続10件につき1件強で家裁に駆け込むようなトラブルが発生している計算になる。
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特集 相続ショック
“死事人”の大攻勢
遺品整理からペットの世話まで。相続関連のビジネスは多岐にわたる。6年前の法改正によって、様々な信託も活用されるようになった。160兆円市場を巡る、相続ビジネスの最前線を追った。
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特集 相続ショック
相続が重荷になってはいないか
潮風に吹かれながら西伊豆に入ると、旅情たっぷりの温泉街が広がる。町の中心には清流が流れ、数匹の錦鯉が悠然と泳いでいる。赤や金の魚体が翻ると、秋の日差しを受けて、きらびやかに輝いた。
オピニオン
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