2013年10月14日号
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特集 世界のトップ大学
座して死は待たぬ
「今の東大は、学生の潜在力を十分に引き出せていない」──。日本のトップ大学、東京大学の濱田純一総長は取材の冒頭で危機感を吐露した。米英トップ大学には水をあけられ、アジアの新興大学が追い上げてくる。「資金力が乏しく、このままでは基礎体力が弱る」。「日本語が壁となり優秀な留学生が来ない」。濱田総長は取材中、思うような教育ができないというもどかしさを幾度となく口にした。
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特集 世界のトップ大学
「内憂外患」で閉塞感
日本には800校近い大学があるが、その大半はグローバル競争に出遅れている。国内では、低い学習意欲や社会のニーズとのミスマッチ拡大で閉塞感が漂う。今すぐ、地盤沈下を食い止めなければ、日本の国力を再生させるチャンスはない。
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特集 世界のトップ大学
4割が「勉強しなかった」
日本の大学に対する国内からの評価や期待を見てみたい。本誌は、母校で学んだ教育内容に社会人がどのような評価を下しているのか、アンケートを実施した(調査概要参照)。
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特集 世界のトップ大学
最高の授業が無料
有名大学の授業を集めた無料ネット講義配信「MOOC」が急成長している。ハーバード大、MIT、北京大、東大…、世界中の「教室」がお茶の間に。既存の大学・教授の反発はあるが、MOOCは教育のあり方を変革している。
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特集 世界のトップ大学
MOOCは「正義」だ
問ハーバード大学とMITが創設したエデックスで今年3月から「Justice(正義)」の授業を公開し始めました。答高等教育は特定層に限られた特権ではありません。「公共善」であるべきです。そのためには、講義を開放し、誰でも受けられるようにすることが重要です。新しい技術を使ってグローバルなプラットフォームを作る。
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特集 世界のトップ大学
猛追する新興勢力
香港やシンガポールでは、日本の大学を凌駕する国際競争力を持つ大学が育ち、マレーシアには、日本式工学教育を取り入れて世界を追撃せんとする大学が生まれた。急拡大する経済力に支えられて、アジアの大学が日本の強力なライバルになり始めた。
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特集 世界のトップ大学
学術界に広がる「1兆円オイルマネー」の磁力
「巨額のオイルマネーが動いたに違いない」――。こう噂される人事が、今年7月にあった。サウジアラビアのキング・アブドラ科学技術大学(KAUST)が、米カリフォルニア工科大学(CALTECH)のジャンルー・シャモー学長を次期学長として引き抜いた。
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特集 世界のトップ大学
切り札は「市場原理」
日本が近代化を果たすうえで、国造りの手本となった英国。「長州五傑」が密留学してから150年を経た今、大胆な大学改革が進行中だ。市場原理などの導入で大学間の競争を加速し、教育・研究の「質」の向上に挑む。
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特集 世界のトップ大学
「ゴーン」を輩出したエリート校「X」
「グランゼコール」と呼ばれる高等教育機関が、フランスにある。高校をトップクラスの成績で卒業後、専門の準備学校で2~3年間猛勉強しないと入試を突破できない、少数精鋭のエリート養成校だ。
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特集 世界のトップ大学
目指せ、世界基準
グローバル化の波に乗り遅れていた日本の大学で、改革の動きが加速してきた。欧米トップ大学を目標に定め、学内の論理に固執していた古き慣習の打破を狙う。「ガラパゴス」的な発想を捨て、グローバルスタンダードを目指す挑戦が始まった。
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特集 世界のトップ大学
「トップ奪取」は可能
日本の大学は物足りない──。世界で活躍する日本人からは、そんな声が聞こえてくる。海外の大学に籍を置く学生や教授、そこで学んだ経営者が処方箋を示す。まずは、国内エリート校を蹴り、米トップ大学への進学を選んだ学生たちに話を聞いた。
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特集 世界のトップ大学
「情熱ある教育」を受けたい
問なぜ米国の大学に進学したのか、その理由から聞かせてください。植村:国際機関で働くのが夢で、それには米大学院の修士取得が望ましいと知りました。一方、海外経験がないので大学院からの留学は不安でした。
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特集 世界のトップ大学
改革のカギは「旧制高校」にあり
日本に比べると海外の大学の地位は高い。その違いは、大学の4年間でリベラルアーツ(一般教養科目)をどこまで教え、人生の基礎をどこまで作っているかに由来するのではないか。それは教室で一方的に教えられるものではない。米国の大学生はハウスマスター(寮長)である先生とともに寮で生活し、日々、青臭い議論をして、歴史観、哲学観、人生観を学生のうちに築く。
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特集 世界のトップ大学
教授も学生も「起業家精神」持て
経済同友会が企業に対して、「採用の際に重視する事項」を尋ねたところ、255社のうち217社が「面接」と回答している。どこの大学で何を学んだかより、直接会って人間性や思考能力を確かめるためだ。さらに、基本能力として学生に求める内容を聞けば、「チームワーク力」「行動力」「熱意・意欲」と続く。