猛烈な勢いで、世界がデータ化している。あらゆるものが記録、分析可能になり、人々の暮らしまで変えようとしている。ある人はその破壊力に可能性を見いだし、またある人は、自分の嗜好や行動を丸裸にされることに恐れおののく。日々蓄積されていく膨大な文字と数値の海は、この社会に何を生み落とそうとしているのか。私たちには今、ビッグデータの真価を冷静に見極めることが求められている。
インターネットの普及やセンサーとコンピューターの性能向上などで生み出されている「大量のデジタル化された情報」を指す。
動画サイトやSNS(交流サイト)の普及で増える写真や動画、音声のデータ。鉄道の利用履歴、電子メールでのやり取り、インターネットでの購買履歴などあらゆるデータが含まれる。
ビッグデータの定義は様々だが、米調査会社のガートナーは、「volume(ボリューム)=量が多い」「velocity(ベロシティー)=(情報更新の)速度・頻度が高い」「variety(バラエティー)=種類が多い」という3つのVを特性として挙げる。米IBMはこれに「veracity(ベラシティー)=正確さ」も加えている。
このような特性を持つ膨大なデータを、IT(情報技術)の進歩で安価に分析できるようになったため、企業などの関心が高まっている。センサーを活用した機械の故障予測、SNSなどへの書き込み分析による宣伝効果の検証、交通渋滞の緩和、防災など様々な分野で利用が広がる。一方で、企業が様々な形で個人の情報を取得して利用することに対する不安も高まっている。