5年以上に及ぶ交渉の末、NTTドコモがiPhoneの導入に踏み切った。経営陣の重い腰を上げさせたのは、ライバルへの顧客流出だけではない。ユーザーの高齢化という内的な課題も、ドコモの将来に影を落としていた。

 米アップル製スマートフォンの最新機種「iPhone 5c」の予約が一斉に始まった9月13日。NTTドコモの参入で国内携帯電話市場の競争環境が様変わりする中、午後4時の予約開始に向け、携帯電話大手3社が料金プランや各種の割引サービスを巡って激しい神経戦を繰り広げた。

休日返上で割引競争

ドコモは「iPhone 5c」の端末価格について、新規・機種変更・乗り換えともに実質負担を0円とした(写真:ロイター/アフロ)

 先陣を切ったのはKDDI(au)。予約開始3時間半前の午後0時30分から東京都内のホテルで緊急記者会見を開き、5色展開の廉価版iPhone 5cと指紋認証などに対応する「iPhone 5s」向けの料金プランや各種の割引サービスを発表。既存ユーザーが最新モデルに機種変更する際には現在利用中の携帯電話を相場よりも高い価格で下取りするなど、徹底した顧客流出抑制策を盛り込んだ。

 業界内にはライバルの後に料金戦略を開示する“後出しジャンケン”の方が有利ではないかとの見方もあったが、記者会見した石川雄三・取締役執行役員専務は「数時間後にキャッチアップされるだけ」と一蹴。「プラチナバンド」と呼ばれる無線通信に有利な周波数帯を武器に、料金よりも通信品質で勝負する考えを繰り返し強調した。

次ページ 季節外れの学割キャンペーン