1979年にベストセラー『ジャパン・アズ・ナンバーワン』を出した東アジア研究の権威。2011年には10年以上かけて執筆した『鄧小平』を出版し、世界で話題を集めた。日本語版出版に伴い来日。日中関係が緊張する中、中国とのつき合い方、見方を聞いた。

写真:的野 弘路
エズラ・ヴォーゲル(Ezra Vogel)氏
ハーバード大学名誉教授
1930年米国生まれ。50年にオハイオウェスリアン大学卒業後、米陸軍に2年間勤務し、58年ハーバード大学にて博士号(社会学)取得。日本に加え61年以降は中国研究にも着手。67年ハーバード大学教授、72~77年同大学東アジア研究所長、80~88年同日米関係プログラム所長、95~99年同フェアバンク東アジア研究センター長などを歴任。79年に出版した『ジャパン・アズ・ナンバーワン』は日本でベストセラーになった。2000年に教職を引退した後、10年強を投じて『鄧小平』を執筆。同書は中国語にも訳され、中国では2013年1月の発売から半年で、販売部数は60万部に達したという。

 問 このほど出版した『鄧小平』の冒頭で、「今ほど鄧小平を研究するのにいい時期はない」と記しています。その意味を改めてお聞かせください。

 答 僕を含めハーバード大学の先生は米政府や様々な財団に研究資金を出してもらっています。ですから、学生だけでなく、国民、社会全体にも知識を与える義務がある。民主主義国家では国民の水準が低いと、政治家がいい政策を取ることができない。その意味で僕らの責任は非常に大きい。

 1979年に『ジャパン・アズ・ナンバーワン』を書いたのも、日本の経済規模が米国を上回ると言いたかったのではありません。

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