アベノミクスの効果により、個人消費の回復が期待されている。しかし、人口減という日本が抱える構造問題は変わらず、今後、国内消費が爆発的に伸びることはないだろう。市場が拡大しない中で、いかに商品を売り、成長していくのか。あなたの会社を救うのはAKB48のファンのような「熱狂顧客」だ。

(白石 武志、上木 貴博、日野 なおみ)


 総投票数は264万6847票――。2011年に実施された北海道知事選とほぼ同じ規模の票が投じられるほどの影響力を持つイベントが6月8日に開かれた。アイドルグループ「AKB48」の32枚目のシングル曲を歌うメンバーを決める「第5回選抜総選挙」だ。

 総選挙への投票はタダではない。ファンクラブの会員になったり、投票権付きのシングルCDを買ったりする必要がある。一部ファンは自分の推すメンバーをセンターで歌わせるため、大枚をはたいて同じCDを大量に買う。

 投票権を得るために1人で数百万円分のCDを買ったファンの姿がネット上に流れるのはもはや風物詩。さらに今年の総選挙では熱狂が海外にも飛び火した。中国本土では購入できない投票権付きCDを求めて、日本国内に住む友人に送金して代理購入してもらうファンまで現れたのだ。CDの販売枚数は約190万枚に上り、女性グループとして過去最高の売り上げとなった。

 好きなメンバーのために熱狂的とも言える消費を繰り返す――。そんな熱烈ファンたちに支えられているAKB48と同様に、熱心に応援してくれる顧客を育てることで、業績を伸ばそうとする企業が増えている。

 特定の企業や商品のファンとなり、惜しげもなくモノやサービスにお金を払ってくれる「熱狂顧客」たち。彼らがいれば、企業は価格競争に巻き込まれず、ライバルが新製品を出すたびに、顧客を奪われる心配をする必要もなくなる。さらに顧客自身が“営業マン”となって、友人や同僚に商品・サービスを薦める可能性も高い。

 ではどのように熱狂顧客を作り出せばいいのか。次ページからは、熱狂顧客作りに成功した事例から見えてきた3つの鉄則を紹介する。

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成熟市場で勝つ方法
「八方美人」をやめよ

日経ビジネス2013年6月24日号 50~51ページより目次