「iPod」(2001年)、「iPhone」(2007年)、「iPad」(2010年)。革新的な製品で市場を切り開き、世界を熱狂させた米アップルの様子がおかしい。スティーブ・ジョブズ氏という天才を失って、はや1年半。「iPhone5」は販売が失速し、部品会社は「アップル・ショック」という言葉をささやき出す。王者の揺らぎを見たライバルたちは、陣営を立て直して開発のアクセルを踏み込んだ。アップルブランドにひれ伏してきた携帯電話会社は、水面下で主導権の奪還へと動き出す。「アップルを包囲しろ」との暗黙の号令がかかったかのように、ライバルたちが幾重にも取り囲み、侵食する。アップルはこのまましぼんでいくのか、それとも、かつての輝きを取り戻すのか。色あせつつある「リンゴ」を取り囲むプレーヤーたちの攻防を追った。

(原 隆、佐伯 真也、白石 武志)

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iPhone神話に陰り 主役は低価格機に

第3勢力の台頭
アップルは「射程内」

「幸せな共存」が終わる
部品、脱アップル加速

日経ビジネス2013年3月18日号 50~51ページより目次