先行する「ゾゾタウン」かそれとも「アマゾン」か。アパレル通販で大手2社がつばぜり合いを繰り広げている。その裏で、韓国発のECサイトが急速に存在感を高めている。

 国内のアパレルEC(電子商取引)の世界で、2大通販サイトが激しく火花を散らしている。11月1日、日本最大のファッションサイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を運営するスタートトゥデイが経営方針を大きく転換し、話題を呼んだ。同社はサイト上で「11月1日からZOZOTOWNは生まれ変わります」と宣言。これまで実施してこなかった配送料の完全無料化を開始し、買い物額に対して1%を還元してきたポイントを一気に10%まで引き上げた。

 これに世界最大の通販企業である米アマゾン・ドット・コムが対抗。アマゾンジャパンは11月7日から、同社ファッションストアで人気の約80ブランドの商品を対象に、10%のポイント還元キャンペーンを始めた。

 日本のアパレルEC市場の覇者を決する天王山とも言える両者の戦い。しかし、ある大手アパレルの幹部は、「真のライバルは別にあるのでは」と指摘する。それが日本国内で徐々に存在感を高めている韓国発のECサイトだ。

日本以上にファッショナブル

ファッション・コ・ラボも韓国衣料品を扱うサイトを開設

 若い女性モデルが、最先端のファッションをまとい、街頭やスタジオなどでポーズを取る。1着のコートやスカートに対して、いくつものモデル写真が並び、さながらファッション誌のように商品を選べる。

 韓国発のECサイト「STYLE NANDA(スタイルナンダ)」は、韓国でも有数の人気を誇るアパレル通販。同社をはじめ、韓国発の衣料品を扱うサイトが急速に日本で増えている。

 「日本のアパレルECが商品単体で見せるのに対し、韓国勢はスタイルや雰囲気で魅力を伝える。見せ方のうまさは日本よりも数段上」。日本国内でアパレルECサイト「ファッションウォーカー」を運営するファッション・コ・ラボMD本部事業創造部の藤井さとみ部長は韓国勢の強さをこう語る。

 中国や韓国では、「109系ファッション」の人気が高い。この人気を取り込もうと、109系ブランド「マウジー」などを展開するバロックジャパンリミテッドは、中国での大量出店に踏み切る。だが中国では既に、韓国のアパレルメーカーが、109系のテイストを取り入れたブランドや、モード感の高いブランドを展開して人気を得ている。韓国勢はこの勢いで、日本でも存在感を高めようとしているのだ。

 スタイルナンダを運営するナンダは、2004年に韓国でECサイトを立ち上げたばかり。韓国発の衣料品を、韓国人モデルに着用させて販売する「DHOLIC(ディーホリック)」も、2007年に設立された歴史の浅いサイトだ。しかし両社とも、「2011年末頃から、急速に日本のEC市場で存在感を高めてきた」(アパレルEC幹部)。ファッション業界に詳しいコンサルティング会社の幹部は、「最近の韓国ECサイトの中には、売上高の半分以上を広告費に投じてサイトの告知を始めたところもある」と打ち明ける。

ディーホリックのトップ画面。モデル写真を多用しているのが印象的だ

 流行を取り入れた商品ながら、海外のファストファッションブランドと肩を並べる低価格も、日本勢にとっては大きな脅威となる。認知度が高まれば、国内で支持を集める可能性は大きい。

 2強の戦いに気を取られている間に、韓国発ECが着々と日本市場に足場を築こうとしている。

(日野 なおみ)

日経ビジネス2012年12月3日号 17ページより目次

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