「ソフトバンクはつながらないよね」「ドコモのくせにこのビルは入らないんだな」――。携帯電話会社はこんなふうに言われているうちが華なのかもしれません。モバイル高速通信規格「LTE(ロング・ターム・エボリューション)」が全国に浸透し、各社が同じようなスマートフォンを扱うようになったら携帯会社はどこで特色を出せばいいのでしょうか。

 iモードやEZwebなど携帯会社独特のサービスは影を潜め、キャリアメールをやめて米グーグルのGmailを使う人が増えました。LINEなどの魅力的なメッセージツールの登場で、最近はメールを使わない人も多いでしょう。

 今回の特集で取材した国内3社の幹部が、なぜか口を揃えるように言っていたのが家電メーカーの凋落です。薄型パネルの投資に邁進し、テレビがコモディティー化(価値を失うこと)していることに気づかなかった原因には、消費者とのコミュニケーションを軽視したことがあります。

 テレビCMで見る白い犬や、ニュースで見る巨額買収とは裏腹に、携帯電話会社は一つひとつ顧客との接点を手放しつつあるように見えます。彼らはその先に家電メーカーの姿を見たのでしょうか。

(小板橋 太郎)

日経ビジネス2012年12月3日号 141ページより目次