高校、大学時代は水球部に所属して、インターハイや国体に出場。社会人になってからも2年間継続して、日本代表選手としてアジア大会に出場し、優勝を果たしました。その後は仕事が多忙になり、本格的なスポーツからは遠ざかっていましたが、やはり物足りなさを感じていました。そんな時に出合ったのが、友人に勧められたスカッシュです。

 スカッシュは四方を壁に囲まれたコートで行う屋内球技で、2人のプレーヤーが交互にラケットでボールを打ち合います。床だけでなく前後左右の壁も使うため、テニスよりハードで、1時間もボールを追いかけると相当なエネルギーを使います。足腰が鍛えられるのはもちろん、1対1でプレーするため勝敗が分かりやすく、頭脳を使って戦略を立てる面白さもあり、始めてからかれこれ37年になります。これからも体が動く限り続けたいですね。

「退化する人間力」を意識する

 私は「進化する科学技術、退化する人間力」という言葉を心に留めています。私たちの生活は、科学技術の進化によって便利になった一方で、それに慣れすぎてしまっているようにも思います。テレビのチャンネルはわざわざ替えにいかなくても、リモコンを使えばいい。洗濯物は手でゴシゴシ洗わなくても、洗濯機がやってくれる。でも、そうして自分で考えたり動いたりせずに身を任せてしまっていると、人間が本来持っている生きる力が退化してしまうような気がするのです。

 エレベーターやエスカレーターを利用したり、電車やバスで空席に座ったりするのも、特に考えずにやっていることではないでしょうか。私は自分で意識して、エレベーターやエスカレーターはなるべく使わず、電車やバスでは席が空いていても立っています。それだけでちょっとした運動になる。当たり前になっていることでも、自分でちゃんと考えてみることが必要だと思いますね。

 私たちの命を支える「食」に関しても、食材がどのように作られ、食卓に並んでいるのかといったことは、自分で知ろうとしなければ分かりにくくなっています。私は子供向け職業体験施設「キッザニア」をオープンするまで、外食産業に長く携わってきましたが、食の根幹である農業にはあまり意識を向けていませんでした。食と農業を見つめ直したい。そんな思いもあって、今年4月に「食と農」をテーマにした複合体験型施設「オークビレッジ柏の葉」(千葉県柏市)を開業しました。自分で農作業を体験することで、食に対する関心や感謝の気持ちを持ってもらえたらと思っています。

 医療も発達して、超高齢化社会を迎えています。しかし、できるだけ医療に頼らず健康に天寿を全うするにはどうすればいいのかを、自分で考えて向き合うことが、大切だと思います。

住谷 栄之資(すみたに・えいのすけ)氏
住谷 栄之資(すみたに・えいのすけ)氏1943年生まれ。65年慶応義塾大学商学部卒業後、藤田観光入社。69年日本ダブリュー・ディー・アイ(現WDI)創業に参画。2003年同社退社後、2004年キッズシティージャパン(現KCJ GROUP)設立。


(写真:皆木 優子)

 

(談話まとめ:田村 知子=フリーランスエディター)

日経ビジネス2012年12月3日号 60ページより目次