「最近注目している新しい金融の商品やサービスはありますか?」

 今回の金融特集を前に、旧知の銀行関係者を中心に少し聞いてみました。「いやー、あまり面白いものは見当たりませんねぇ」と話すのが専ら大手行に勤める人々。「この新サービスは生活を便利にすると思いませんか?」とアイデアを次々と披露するのがネット系やベンチャーで働く人でした。傾向は見事に2極化しました。

 誌面では紹介できませんでしたが、興味深い組織があります。ネット系のマネックス証券です。スマートフォンを使い、個人投資家向けに有効な資産運用や株式などの保有状況が一目で分かるサービスを提供しています。

 牽引役が「先進サービス企画室」です。チームは4人。大手電機メーカーやコンサル出身者に加え、何とデザイナーも入っています。デザイナーの仕事はスマホでユーチューブのサイトを見て、画面できれいに流れる映像をいろいろ分析します。自分たちのサービス改善や新商品につなげるためです。

 取材では「金融を楽しいものにしたい」と口にしていました。そんな言葉を耳にしたのは初めてです。その意識が日本の金融界全体に広がれば変わるのでしょう。期待しています。

(馬場 燃)

日経ビジネス2012年11月26日号 106ページより目次