解散風の強まりで「第3極」連携への動きが加速してきた。焦る関係者は「大連合」への傾斜を鮮明にする。政界の“大同小異”の危うさを繰り返すことにならないか。

連携を模索する橋下徹氏(左)と石原慎太郎氏。2人は共闘に前向きだが…(写真:共同通信)

 赤字国債発行法案など衆院解散・総選挙に向けた条件整備が進み、野田佳彦首相が月内にも解散に踏み切るとの見方が急速に広がる永田町。苦戦必至の民主党議員から怨嗟の声も上がるが、焦りを深めているのは第3極の各政党も同じだ。

 「年内解散は想定外。候補者の擁立作業が間に合わないかもしれない」。次期衆院選の台風の目と見られる日本維新の会関係者はこう漏らす。石原慎太郎・前東京都知事とたちあがれ日本が急遽前倒しして今月13日、「太陽の党」の設立に踏み切ったのも、次期衆院選への対応を急ぐためにほかならない。

 その石原氏は「小異を捨て大同に」と、維新、みんなの党との第3極の大連合を狙う。原子力発電などのエネルギー問題、消費税、TPP(環太平洋経済連携協定)といった主要政策を巡る相違点はできるだけ曖昧にし、共倒れを防ぐための選挙区調整を急ぐ思惑が透けて見える。

 維新と、たちあがれが今月9日に開いた幹部間の政策協議。維新が目指す脱原発依存や消費税の地方税化、TPP交渉参加などについてたちあがれ側がいずれも歩み寄る姿勢を示し、協議をさらに詰めていくことで一致した背景にはこうした事情がある。

 維新が47都道府県の小選挙区第1区に候補者を立てる方針を示したことで、競合するみんなの党との連携を危ぶむ声も出ている。だが、維新関係者は「今は主導権争いをしている段階。最終的には折り合うだろう」と話す。

 政界では、様々な軋轢や矛盾を抱えながらも、最後は「第3極結集」の大義名分の下、各党の調整はある程度まとまるとの観測が強まっている。

繰り返される“野合”の脆さ

 仮にそうした大連合を形成して次期衆院選に臨むにしても、問題はその先だ。自民党のある幹部は「保守勢力の結集に向け、自民と連立したいグループもあれば、大規模再編を仕掛け、自ら首相に就くことを狙う者もいるだろう。次のステップへの足場と割り切ってしまうにしても、大連合は瞬間的なものでしかない」と指摘する。

 第3極結集の軸は「脱霞が関支配」など統治機構改革に関するものになる公算が大きい。こうした“細い糸”を拠り所とした連合の脆さが浮き彫りになった例で思い浮かぶのは、1993年の細川護煕連立政権だ。理念や政策が異なる連立与党の各党は当時の世論の最大の関心事だった政治改革の実施で一致。だが、その実現後は急速に足並みが乱れ、政権は1年も持たずに崩壊した。

 連立政権と同一に論じることが適切かどうかの議論はあるにせよ、現在の民主党政権の混迷にも類似点が見いだせる。民主が急速に世論の支持を失った理由として、実現可能性が低いマニフェスト(政権公約)や外交・安全保障政策の迷走などが挙げられるが、民主のある閣僚経験者はこう語る。

 「『決められない政治』の根っこあるのは、党内対立だ。目指す国家観も政策も大きく異なる集団が『政権交代』の1点だけで結びついていた。選挙互助組織の限界だった面は否めない」

 自民の安倍晋三総裁や石原氏らが保守色を強めているのに対抗しようと、民主内では次期衆院選のマニフェストの柱に「中道路線」を強調する構想が浮上している。今さらながら党の基本理念を議論する必要に迫られていることが、政界での“大同小異”路線の危うさを如実に物語る。

 2大政党化への歩みが失望に変わり、第3極形成とその後の再編含みで走り出した永田町。理念、政策といった政党政治の根本が軽んじられる限り、政治の流動化が続きそうだ。

(編集委員 安藤 毅)

日経ビジネス2012年11月19日号 16ページより目次

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