(出所:石油天然ガス・金属鉱物資源機構[JOGMEC]、産業技術総合研究所、東大・加藤泰浩教授の資料から本誌作成)
【竹島】
新政権もリセット困難
韓国が1952年、「李承晩ライン」を一方的に引いて以降、支配を続けている。李明博大統領が8月に上陸したのを機に、領有権問題が注目を集める。日本政府は国際司法裁判所への単独提訴を検討中。
【尖閣諸島】
中国船と保安庁が対峙
日本が実効支配する。国連が1968年、尖閣諸島近海に石油が埋蔵されている可能性を示唆。すると台湾・中国が領有権を主張。今年、石原慎太郎・前都知事が買い上げを提唱したが、政府が国有化。中国国内での過激なデモに発展した。
【与那国島】
自衛隊誘致で激震の島
台湾が見える日本最西端の島。戦前は台湾との民間交流によって栄えた。しかし、戦後、この交流は途絶えている。過疎化の危機に瀕する島は、町長主導で自衛隊誘致を進め、経済再生を目指す。これが反対派との対立を生んでいる。
【沖ノ鳥島】
「要塞」と化した海の要衝
ハワイ・ホノルルよりも南にある熱帯の島。日本最南端に位置し、日本本土よりも広いEEZを有する。近年、波による浸食が激しいため、コンクリートに覆われた「要塞」で守っている。中国は沖ノ鳥島を「岩」と非難。
【北方領土】
忍び寄る韓国企業
日本最北端の択捉島を含む4島からなる。戦後、ソ連・ロシアが占拠。領土問題を巡る外交交渉は一進一退を繰り返す。今年7月にメドベージェフ首相が国後島を訪問。近年、開発が著しく進む択捉島に8月、本誌記者が入った。
【南鳥島】
真円を描くEEZの威力
日本最東端に位置する国境紛争のない島。海上自衛隊と海上保安庁、気象庁の職員だけが駐在している。2012年、濃度の高いレアアース泥が近海に広がっていることが分かり、注目を集める。

 尖閣諸島を含む東シナ海の問題は、日本と中国の間に、海に眠る資源を巡る摩擦ももたらしている。

 日本と中国はともに、基線から200カイリのEEZと大陸棚の権限を持つ。EEZと大陸棚はどちらも、資源の開発など主権的権利を行使できる海域だ。

 しかし、東シナ海の幅は最大でも350カイリで、両国が権限を持つ海域は重なり合う。境界線をどこにするか、いまだに合意できていない。日本は、中間線を境界線とするよう主張している。これに対して中国は、中間線よりはるかに日本寄りの沖縄トラフまでを自国の大陸棚と主張する。

 日中の中間線の付近にガス田が存在する。中国は2003年以来、いくつもの設備を設置し、生産を進めている。これに対して日本は、抗議を続けてはいるものの、自らが開発することは“自粛”している。

 日本が生かすことができない資源はこれだけではない。北方領土の国後島近海にはメタンハイドレート層が広がっていることをロシアが確認している。しかし、同島はロシアが支配しており、手をつけることができない。

 上の日本地図を見てほしい。日本の広大なEEZには、多種多様な資源が眠っている。「資源大国ニッポン」となることも、夢物語ではない。

 2012年6月、南鳥島沖の海底で、レアアース泥が見つかった。この鉱床は、ハイブリッドカーや電気自動車のモーターに使用するジスプロシウムや、LED(発光ダイオード)発光体の原料となるテルビウムなど、日本の産業に欠かせない元素を含む。日本の数百年分の消費量を賄えるという。

 ほぼ100%、輸入に頼っている石油も、実は日本の海にある。新潟・佐渡沖の南西30km、水深約1100mの地点に、ビジネスとして成立する規模の油田がある。経済産業省は2013年にも掘削調査を実施し、2023年以降の商業生産開始を目指す。

 また、沖縄や伊豆・小笠原海域には海底熱水鉱床と呼ばれる鉱物資源が存在する。これは海底から噴き上げる熱水に含まれる金属成分が海水に冷やされて沈殿してできたもの。金、銀、銅、亜鉛などを含む。火山帯が広がる日本ならではの資源だ。

 静岡沖から和歌山沖にかけて広がる東部南海トラフをはじめ、日本を取り巻くように資源域が広がっているのは、「燃える氷」と呼ばれるメタンハイドレート(天然ガスの主成分のメタンが氷状になったもの)である。その総量は日本のガス消費量の100年分以上と推定されている。

 政府は2008年、海洋基本計画を閣議決定し、海底熱水鉱床とメタンハイドレートについてロードマップを策定した。2022年の商業化を目指し、プロジェクトを本格化させている。「資源大国ニッポン」が、いよいよ現実味を帯びてきている。

 改めて、上の地図のオホーツク海から日本海、東シナ海に目を向けてほしい。この海域はロシア、韓国、中国、台湾と領土問題を抱えている。安全保障上、不安定な状態にある。このため日本は、新潟沖油田以外、ほとんど手をつけられずにいる。例えば、竹島周辺にもメタンハイドレートが眠っている可能性がある。

 3つの領土問題のために、日本は海洋資源の開発において多くのポテンシャルを失っているのだ。では、それぞれの領土問題は現在、どのような状況にあるのか。果たして、解決策はあるのか。「6つの国境の島」の今と未来を見ていこう。

日経ビジネス2012年11月12日号 40~43ページより