経営理念が「民主化」という言葉で表現できる企業が、欧州に2つあります。1つは家具チェーンのイケアで、創業者イングヴァル・カンプラード氏は、富裕層しか買えなかったデザイン家具を、一般庶民にも手が届くように「民主化」しました。

 もう1つが、今回の特集で取り上げたファストファッション「ザラ」を展開するインディテックスです。創業者アマンシオ・オルテガ氏は、金持ちの特権だったファッションを低価格化し、一般女性のために「民主化」したのです。

 ファストファッションは今、世界的な人気です。巨大なサプライチェーンは、バングラデシュなど最貧国に生産の一部を頼り、先進国では消費を加速させています。その消費の波は今、中国などのアジアや南半球に押し寄せています。安く、おしゃれな服で私たちは豊かさを実感する一方、服の使い捨てや低賃金労働は社会問題になっています。

 イケアもインディテックスも、今やそれぞれの業界で世界最大手です。かつて高価だったファッショナブルな家具や服は両社のおかげで「民主化」されましたが、そのモデルの持続可能性もまた、問われています。

(大竹 剛)

日経ビジネス2012年11月5日号 116ページより目次